糖尿病を放置すると合併症の原因に
糖尿病の患者数は増加の一途をたどっています。平成14年という今から13年も前に行われた厚生労働省の調査では、患者数は約200万人、糖尿病が強く疑われる人および可能性を否定できない人が1600万人以上でした。
現在はすでに950万人にもなっているのです。 さらに、糖尿病の診断基準は、今後さらに引き下げられ、患者数がふえる可能性もあります。 実際に糖尿病と診断されても、生活に支障が出るような自覚症状などがないうちは、そのまま放置している人が多いのですが、糖尿病のかたは約10年も早死にするのです。
ここで、糖尿病の原因とその恐ろしさについてです。 体が活動するエネルギー源は、炭水化物や脂質です。食事によって体内に入った糖質は、ふだんは肝臓に蓄えられ、必要な分だけ血液によって全身に運ばれ、細胞や筋肉のエネルギーとして使われています。 糖尿病は、血液中の糖質がエネルギーとして利用されずに残っているため、血糖値が高い状態がつづく病気です。 糖尿病とひと口にいっても、大きく分けて2つのタイプがあります。私たちの体の血糖値を一定に保つためにコントロールする、インスリンというホルモンがほとんど分泌されないため、高血糖の状態がつづくのが1型です。 このタイプの人は毎日注射をしてインスリンを補充する必要があります。 もうひとつがインスリンはある程度分泌されているけれども、タイミングがおそい、あるいはインスリンの働きが著しく低下したために、血液中の糖質をうまく利用できなくなり、高血糖がつづくタイプが2型です。 インスリンの働きが弱くなる原因には、内臓脂肪がふえすぎることや、過食によって大量の糖質が常に体内に入るため、インスリンが追いつかなくなるなど、さまざまな理由があります。 日本人の場合は1型よりも2型のほうが圧倒的に多いのが特徴です。血糖値が常に高い状態のまま放置しておくと、動脈硬化を促進して脳梗塞、心筋梗塞などのリスクが2~3倍に高まります。 また、糖尿病の3大合併症といわれるように、網膜の血管が傷つき失明に至る「糖尿病性網膜症」や、腎臓の働きが低下し透析が必要になる「糖尿病性腎症」、神経が障害されて感覚のマヒが起こる「糖尿病性神経障害」などを併発することにもなります。 3大合併症についての詳しくはこちら。 最近では、糖尿病がガンのリスクを高める可能性があるとの研究も発表されました。
ただ、日本人に多い2型糖尿病や糖尿病予備軍の人は、毎日の食事の改善や運動によって、その発症を約6割も抑えられるという調査結果もあります。
血糖値上昇を抑える効果が高いといわれているのは、食物繊維を含む食品。みそ汁や海藻などの伝統的な和食も予防に効果があるといわれています。運動は毎日の家事、筋肉をつけるハーフスクワット運動などをすすめていますが、短い時間であっても、つづけることが重要です。
まずは毎日食べたものを手帳などに記録して、自分の食習慣を把握することから始めてはどうでしょうか。記録すると自分のクセが自覚でき、チェックすることが食べすぎの抑制にもなります。これだけ頑張ったというフィードバックが、励みにもなるでしょう。自分の生活を自分で見つめ直す機会をつくり、健康で長生きできる生活習慣を心がけましょう。
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