励ましすぎない、焦らない

うつ病の人と上手に好き合うひとつのポイントは「力になりたい」「何かしてあげたい」という気持ちをあまり強く持ちすぎないことです。

自分の身近な人がうつ病だと聞けば、たいていの人は、まず意外に思い、その次に、なんとかならないかと心配するでしょう。目の前に苦しんだり悩んだりしている人がいるときに、なにか手助けをしたい、自分にしてあげられることはないかと考えるのは、自然です。

けれども、うつ病の場合、周囲のそういう気持ちが強すぎると、かえつて本人を困らせてしまうことがあります。それが、よくいわれる「うつ病ははげましてはいけない」ということにもつながります。

うつ病になっていちばんつらいのは本人です。患者さんはもうずいぶん前から、こんなふうではだめだ、なんとかしなければ、もっとがんばらなければと思いながら、それでも気持ちが上向かない、気力がわかない、気分がコントロールできない、体もいうことをきかない、という状自分の身近な人がうつ病だと聞けば、たいていの人は、まず意外に思い、その次に、なんとかならないかと心配するでしょう。

目の前に苦しんだり悩んだりしている人がいるときに、なにか手助けをしたい、自分にしてあげられることはないかと考えるのは、自然です。けれども、うつ病の場合、周囲のそういう気持ちが強すぎると、かえって本人を困らせてしまうことがあります。それが、よくいわれる「うつ病ははげましてはいけない」ということにもつながります。

精神的なエネルギーが低下している状態です。つき上くたんほじゅうまり、ガソリンが極端に減ったまま補充されない自動車のようなもので、ふいくらアクセルを踏んでも車は前に進みません。そこへ、「もうちょっとがんばろうよ」「しっかりして」といわれると、「また心配をかけてしまった」「やっぱりわかってもらえない」とかえってつらくなります。よかれと思って気分転換に誘うことがふたん逆に負担になることもあるので注意しましょう。

この人はいまつらいんだ、なんとかしようとするのに思うようにできないんだ、ということをよく理解してから、もう一度その人を見ていけば、たしかに前とは少しペースやノリが違っていることが、見えてくるのではないかと思います。

そして、相手のペースをだいじにして、なるべく合わせていくようにさえすれば、あとは以前と同じようにつきあっていけばよいのです。うつ病治療のいちばんの原則は「あせらない」ことです。いっぺんによくなると期待せずに、ひとつひとつ問題を解決していくのです。

ですから、うつ病を周囲からサポートする際には、「どうにかしてあげたい」「なんとかしてやりたい」という気持ちをあまり前面に出しすぎずに、じょうずにコントロールしながらつきあっていくということが大きなポイントになります。

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