お手伝いできることはないかと聞いてみる

手伝えることは、やってあげたほうがいいと思います。ただし、その前に、本人とよく話し合って本人の気持ちやペースを一番に考えていくことが大切です。

うつ病に悩んでいる人に対して、はげましすぎないほうがいい、なんとかしてあげようという気持ちを強く持ちすぎないほうがいいといっても、なにもするな、手伝うなということではありません。

「いまのあなたが心配だ」「手伝えることはできるだけやらせてほしい」というメッセージは、本人にきちんと届けてあげたほうがいいと思います。それをどういうタイミングやいい方で伝えていけばいいかは、状況ふによってさまざまですが、あなたと本人の関係を振り返りながら考えていけば、それなりの方法が見つかるのではないかと思います。

仕事にしても家事にしても、本人は、やらなければという気持ちはあるのにやれないでいるわけですから、だまって手伝ってしまうと、自分うばの持ち場を奪われたような気持ちになってしまうかもしれません。ですからまず、「手伝いたい」という気持ちを伝えましょう。そして、そのメッセージが届いたという手ごたえが感じられたら、なにからどう手をつけていけばいいのか、なるべく具体的に話し合ってみてください。

たとえばうつ状態になっている主婦が、なんとか料理をしようとしてよごもいつもよりすごく時間がかかったり、ふだんはきれい好きなのに汚れた食器がたくさん残っていたりするとします。

このようなときには、夫が片づけを手伝うことで、妻の気持ちが少しらくになるかもしれませんし、たまには家族で外食にしようという提案で、気持ちがやわらぐ妻もいるかもしれません。方法としての「正解」があるわけではありません。その人のペースやふつごうやり方が前とは追ってきたために、実際にどんな不都合が出ているのか、それをどうすれば解決できるのかを、なるべく具体的に考えてみてください。

本人を置き去りにしてまわりの人たちだけでなんとかしてしまおなっとくうとせずに、どういうふうにやり方を変えれば、ともに納得して取り組めるのかを、少し時間がかかっても、話し合ってみてほしいと思います。

とりあえずの答えが見つかったら、しばらくはその方法でやってみましょう。それがうまく行かなくなったら、また話し合えばいいのです。なかなか答えが見つからなくても、そういう話し合いができただけで、本人はずいぶん救われた気持ちになるのではないかと思います。

きのせいではない

うつ状態を強めている人に、具体的になにをどう手伝おうかという話をすると、「私がわるい」「だらしない」「できなくて申しわけない」「だめだ」というような返事がかえってくることもあると思います。

そういうときには、「あなたのせいではない」「気のせいではない」「いまは自分ひとりでなんとかしようとしないほうがいいと思う」ということを伝えてあげてほしいと思います。

できれば、本人の気持ちを正面から打ち消さないで、「とりあえず、こんなやり方を試してみるのはどうだろうー」「これだったら私にもできるので、やってみませんか? 」というようないい方ができれば、なおいいのではないかと思います。

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