高齢者を孤立させないために

高齢者のうつ病は、積極的な治療が必要です。高齢者を孤立させずに、早くうつに気づけるように実行できるサポートを工夫していってほしいのです。

高齢者がうつ病になると、いろいろな体の病気にかかりやすくなったり、いまかかっている病気が悪化しやすくなったり、治りにくくなったりします。

自殺のおそれも高まります。中高年の自殺死亡率が増加

歳のせいだと見すごされたり、痴呆と混同されたりしやすいのですが、高齢者のうつ病は、早く見つけて積極的に治療することがたいせつです。

いろいろな意味からよくいわれることですが、うつ病に早く気づくたこりつめにも、高齢者を孤立させないことがたいせつです。身近にひとり暮らしのおじいさんやおばあさんがいたら、できるだけ連絡や接触の機会をつくるようにしてほしいと思います。近くであれば、訪ねていって話す回数をもっと増やせないか、もう一度考えてみてください。

遠くでも、携帯電話や手紙など、方法はいろいろあるはずです。携帯電話やパソコンを使うようにしてもらいメールアドレスを交換するなどというのもよいでしょう。

知っておいてほしいのは、下の世代と同居している高齢者の「孤立」は、意外に気づかれにくいということです。日本ではひとり暮らしの高齢者よりも、家族と同居している高齢者のほうが自殺率が高いという報告もあるほどです。

自分はもう仕事も家のこともしないで、ただ下の世代にめんどうをみてもらっているだけだという罪悪感のようなものを感じていることがあるので、家族は、高齢者のそういう気持ちを見落とさないようにしてください。

妻をなくしたおじいさんが、息子夫婦も毎日忙しそうだし、孫たちも学校に行くようになってあまり相手をしてくれず、ひとりで昼間からこたつでお酒を少しずつなめながら、「死にたい、死にたい」とつぶやいている。

たとえばそんなようすを見かけたら、年寄りのぐちと聞きすごさないで、もっと話を聞いてみるようにしてほしいと思います。

最近は、多くの自治体や市民グループなどで、趣味や健康づくりのサークルなど、高齢者の「生きがいづくり」に地域ぐるみで取り組むような試みも増えています。そういう活動への参加をすすめてみるのも、積こころふ極的に考えてみたほうがいいことのひとつだと思います。

高齢者の引っ越しはよく考えてから

現在ひとりで暮らしている高齢の父、あるいは母を、息子や娘が心配して、自分たちと同居させようとする話はよくあります。そういうときには、本人の気持ちや考え、いまの暮らしぶりなどを、ていねいに見つめ直してみてください。

高齢者の引っ越しは、しばしばうつのきっかけになります。まわりから見れば新しい環境のほうがずっと便利で健康的なのに、本人は「夏暑くて冬は寒いボロ家だったけど、やつぱりあそこがなつかしい」という具合になりがちです。

いまの住まいや地域には、その人のこれまでの生活と人生が詰まっているはずです。知り合いもそれなりにいて、買い物や食事も自分でなんとかできていて、本人も住み続けたいと思っているのならば、それでも同居を急ぐ必要があるのか、もう一度本人とよく話し合ってみてください。