うつ病 症例2「私のうつの話」

私は40代の主婦です。少し前の話ですが、三週間近くのあいだ、夜中に目が覚めてしまい、家事をするのがおっくうになっていました。パートで働いてもいたのですが、それも辞めようかと迷っていました。

家族は、公務員をしている夫と、普段は寮生活をしていて大学受験を控えている長男、近くの高校に通う長女、夫の両親の6人です。夫は公務員とはいえ、対外折衝の多い職場で帰宅する時間が遅いので、あまり話しを聞いてもらえる時間がありません。夫の両親はとても快活明瞭で、特にトラブルなどはありませんでした。

私は、長男の大学受験が気になっていて、さらに、長女に腰痛がありそれがいつまで経っても良くならないことが、とても心配でした。長女は、階段から足を踏み外して腰を強打してからなかなか腰痛が治らず、いくつか病院にかかっても診断や治療の効果がはっきりしないのが、いつも気がかりだったのです。

当時、かなり気が焦っていたこともあり、調子が悪くて近所のクリニックを受診しました。そこで、先生に精神安定剤と柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)という漢方薬を処方してもらいました。しかし、睡眠がじゅうぶんにとれずに朝も早くに目が覚め、常に仕事のことばかり考えていたため、それから一週間も経たないうちに、私はまたそのクリニックを受診したのです。

勤務先の上司からは「しばらく静養するとよい」というあたたかい言葉をかけてもらっていましたが、私自身は、仕事を続けるべきか、それとも辞めたほうがよいのかをずっと迷っている状態でした。

クリニックでは、うつの状態だという診断を受け、抗うつ剤を処方されました。一週間ほど経つと、明け方の胸の苦しさや動悸が少し軽くなり、夕方になる頃には普段と同じくらいに気持ちが落ち着いてきました。仕事のほうは、やはりしばらく休養することにしておきました。

これで少しは落ち着くのかなと思っていたのですが、数日後に再びクリニックを受診することになってしまいました。それは、腰痛のある娘がスキーに行くことになり、それが気になって耳鳴りがするようになったからです。処方された抗うつ剤をそのまま飲んでいてもよいのかという事も心配でしたが、先生からは続けて服用するようにと言われました。

そして、私の症状が落ち着いてきたのは、初めにクリニックを訪れてから一ヵ月を過ぎた頃でした。耳鳴りはまだ少し残っていましたが、家事はなんとかできるようになり、さらに一ヵ月後くらいには、外出ができるようになったのです。その後は、クリニックへ薬をもらいに行くだけとなり、落ち着きを取り戻しました。