病状を周囲の人にどこまで話すか

うつ病を改善させていくためには、まわりからのサポートが大きな力になります。そのためには、必要な人にうつ病であることを知らせていく必要があります。

本人から気分が落ち込んでいるという相談を受けて、仕事や生活上の配慮やくふうをし始めたり、医療機関への受診をすすめたり、実際に受診して、うつ病という診断を受けて治療を始めるというようなことになってくると、病気のことをまわりにどれくらい知らせておくべきかというのが、具体的な問題として出てきます。

基本的な考え方としては、うつ病の治療にはそれなりの期間がかかりますし、隠すような病気でもありませんから、必要に応じてきちんと話して、周囲の理解と協力を求めていくという姿勢がたいせつです。

本人にとっても、まわりがある程度わかっていて、必要なときにはそれなりの手助けが受けられるという雰囲気を感じられたほうが、気持ちの負担もそれだけ軽くなって、治療の面でもいい意味があるはずです。

ただし、周囲に知られることについて、本人の考えや気持ちを最優先するのはもちろんのことです。私自身は、企業で働く人のうつならば、同じ部署の同僚には、ある程度は知らせておいたほうがいいと考えています。

職場がらみのうつでは、多くの場合、仕事の内容や分量の調整が有効な手段になります。そういうときに周囲がなにも知らされていないと、「なんであいつだけ」と人間関係の摩擦が生じてしまうかもしれません。

職場の異動を考えるときには、異動先の上司ともよく話しておく必要があります。主婦のうつでは、同居している家族はもちろんですが、行き来の多い親戚や近隣の人、地域活動などに参加しているときにはそのなかまなどに、どの程度話したほうがいいか、こまかく相談しながら決めていく必要があるでしょう。

このように、本人の仕事や生活を具体的にイメージしながら、どれくらいの範囲の人たちに、どんなことをわかってもらい、どういう手助けをしてもらえれば、本人のうつを改善するためにプラスになるかということを考えてください。

もちろんいっぺんに答えを出すことはありません。必要なときに、必要な範囲で考えていけばいいのです。そして、必ず事前に本人とよく相談して、だれに、どういう形で、どの程度話すか、なつとくお互いに十分納得しながら進めていくことがたいせつです。

酒の席での相談はNG

サラリーマンなどで、「じやあちょっと酒でも飲みながら話を聞こうか」というケースを見受けますが、相手が沈み込んだりペースが落ちているようなときの相談には、お酒の席は向きません。

話し合いや相談の目的は、まず相手の話をよく聞き、問題点を具体的にはっきりさせて、ひとつひとつ解決策を探していくことです。お酒をせま飲むと思考力が低下して考え方も狭くなりますから、話が散漫になったり、結論を急いだり、決めつけてしまったりしがちで、問題解決のための話し合いにとってはデメリットが多すぎます。

ちょっと気持ちをほぐそうということであれば、まずひととおり話し合ってから、そのあとで軽い食事というようにしたほうがよいと思います。