受診をすすめるタイミング

精神的につらそうだったり、身の回りのことがうまくいかなくなってしまっているときは、自分たちだけでなんとかしようとせずに医師への受診をすすめましょう。

職場でも家庭でも、患者さんの態度やようすに、なにか気になることがあったときに、時間をかけてじっくりと話し合うのはとてもだいじなことです。しかし、原因や理由を探すことにはこだわらないようにしてください。

原因探しを急ぎすぎると、「なぜ?」「どうして?」ということばが増えて、聞く側にそのつもりがなくても、どうしても、問いつめるような責めるようなニュアンスが強くなてしまいます。

それよりも、本人の気持ちや行動のようすをなるべくありのままに聞いていきながら、どのように困っているのか、具体的にはどのような問題があるのか、それをたとえ一時的にでも解決したり緩和したりする方法はなにかないものだろうか、と話し合っていくことのほうがたいせつです。

話していくなかで、本人がつらい気持ちを強めているように感じられことがらたり、仕事や生活上の具体的な事柄で、なかなか思い通りにならないことが起きているようなときには、自分たちだけでなんとかしようとせずに、医療機関への受診をすすめてほしいと思います。

話し合いのなかで見つかった、なにか具体的な問題点や、気がかりな症状と思えるようなことと関連づけながら、一度医師とも話してみてはどうだろうかと提案してみてください。

すると、説得力も増しますし、本人の気持ちも比較的スムーズに流れていくことが多いようです。話していくうちに、「仕事をちゃんとしたいという気持ちはあるのに、朝から午前中にかけて体がいうことをきかないと感じているようだ」ということがだんだんわかってきたとします。

そうしたら、仕事の面でも、あなたの健康という意味でも、いまのような状態は気がかりで心配だとまず伝えたうえで、「ストレスが強くてそんなふうになることもあるらしいから、一皮専門医に話を聞いてみたらどうだろう」という具合にすすめてみましょう。

本人が納得しないままに医療機関を受診しても、なかなかいい結果にはつながりません。急がずに、しんぼう強く、本人とよく話し合ってほしいと思います。

いっぺんに取り返しのつかない状況になることはほとんどない

うつ状態が心配される人と話し合っているときに、こちらがなにかいったことで、相手が動揺したり、傷ついてしまったように感じられることもあるかもしれません。そういうときには、「つらい思いをさせてしまったかな」「どうしてそんなに気持ちが揺れるんだろう」などと、あなたのほうからその気持ちを素直に聞いてみてください。

なにかまずいことをいってしまったかなと感じても、あわてずにフォローすることもできるはずです。自分のことばや考えにとらわれずに、相手の気持ちとペースをだいじにしてください。そのように配慮して、流れのなかでよい方向を見つけていくように心がければ、ひとつのことばやいい方でいっペんに取り返しがつかなくなってしまうようなことには、なかなかならないものです。

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