7種類の認知のゆがみ

認知のゆがみには7種類のパターンがあります。これに自分で気づいて、かたよったものの見方を修正していくことがポイントになります。

気分が落ち込むと、認知のゆがみが強くなります。「気が重い」などの漠然とした気持ちだけが先に立ったり、「絶対○○でなければならない」と決めつけるような考えが目立ってきます。「だれでもそうしている」となんでもひとくくりに考えたり、「こんな気分でこんなこともできないなんて、自分は弱い人間だ」とすぐに自分の人格まで否定したり、「もう取り返しがつかない」と先走ってしまったりします。

このような認知のゆがみは、7つのパターンに整理できます。これらを知っておくと、自分の認知を再検討するよい手がかりになります。

  1. 恣意的推論 いわゆる思い込み、先走り、独断です。さほど理由や根拠もなく自分の推測を信じ込んでしまいます。恋人から何日か電話がならいだけで「もう嫌われた」と思ってしまったりします。
  2. 二分割思考 白黒思考、○×思考ともいえます。あいまいな状態にがまんができず、いつもどちらかにはっきりさせないと気がすみません。
  3. 選択的抽出 自分が気にしていることばかりに目を向けて結論を急いでしまいます。健康状態に自信がなくなると、ふだんは気にならないちょっとした体の不調まで心配でたまらななったりします。
  4. 拡大視・縮小視 関心のあることは大きくとらえ、自分の考えに合わないことはうんと小さく見ます。沈んだ気持ちが続くと、失敗したことや自分の短所ばかりを思い出し、成功した体験を忘れてしまいます。
  5. 極端な一般化 わずかな事実から全体を決めつけてしまいます。上司から低く見られているかもしれないと疑っていると、小さな注意を受けただけで、もうまったく評価されていないと思ってしまったりします。
  6. 自己関連つけ なんでも自分のせいだと考えます。チームの成績が下がったときに、「私の責任だ」と自分だけを責めてしまいます。
  7. 情緒的な理由づけ 自分の感情から現実を見てしまいます。新しい仕事はだれにとっても未知な部分が多いのに、「よくわからない。不安だ。こんなに不安なんだからきっとできないだろう」と思い込みます。

認知療法では、このような認知のゆがみに注目します。自分の「極端な思考」に気がつき、より柔軟な考え方に修正して、もう一度現実と向き合っていけるようにしていくことが認知療法の目的です。

クリスマスから新年にかけての時期をひとりで過ごす人のことを「越冬隊」というのだと、ある人がさびしげにいうのを聞いたことがあります。

たしかにそういう時期の街角はにぎやかで、恋人どうしも家族づれも幸せそうに見えます。それに比べて自分はなんて不幸なんだという気分が強まります。でも、ほんとうにそうでしょうか。あのカップルは実はケンカの真っ最中で、なんとか仲直りしようと散歩に出てきたのかもしれません。

いまひとりでいる自分も、友達とちょっと電話で話すだけで気分が変わるかもしれません。気持ちが落ち込んだり閉じこもったりすると、まわりはみんな幸せで自分だけ不幸というように二者択一的になったり、根拠もなく決めつけたりしやすくなります。これも「認知のゆがみ」いえます。

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