自動思考について

認知のゆがみを修正していくためには、根拠を探す、結果を予測する、代わりの考え方を探すという3つのチェックポイントがあります。

悲観的になったり、気持ちが動揺したときには、私たちのなかになんらかの考えやイメージが浮かんでいます。

ある会社の部長さんは、部下のA さんに今日が締め切りの資料ができたか尋ねたときに、「え?私は聞いていませんが」とやや強い口調で返事をされて、沈んだ気持ちになりました。このときAさんのなかには、「私がいわなかったんだ。DAにいやな思いをさせてしまった」という考えが浮かんでいました。

このような考えやイメージは、自分のことなのに、自分の意志とはかかわりなく浮かんでくるように感じられるので、「自動思考」と呼ばれています。

認知療法では、このような自動思考を見つけて、もう少し柔軟な考え方ができるようにしていきます。自動思考を見直すときには、根拠を探す、結果を予測する、代わりの考え方を探す、という3 つがチェックのポイントになります。

  1. 根拠を探す

    気持ちが揺れてしまったときには、そのときの自 分に浮かんだ考え(自動思考) を見つめ直してみましょう。

    その 考えには、きちんとした根拠や証拠があるでしょうか。「そう考 える根拠はなにか」「それを裏づける事実にはどんなことがある ふ か」「それと反対の事実はないか」と振り返ってみると、動揺し てせばまった考え方がもう一皮現実的なものになり、少し視野が 広がることがあります。

  2. 結果を予測する

    それでも元の考えが正しいと思えるときには、「だったらどうなるんだ」と結果について予測してみます。「その考えがほんとうならば、どんなことが起きるのか」「それでどんな困ることが出てくるのか」「それはどれくらい重要なことか」などと考えてみると、多くの場合、それほどたいへんなことはそうそう起こらないし、起きたとしてもそれなりに対策があると思えてきます。

  3. 代わりの考えを探す

    最後に、「では別のように考えることはできないか」と自分に質問してみます。前の2 つのチェックでだいぶ頭がやわらかくなっているはずなので、かなり現実的で幅の広い考え方が見つけられるだろうと思います。

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