仕事の環境を変えられないか

職場環境へのアプローチにもいろいろな方法があります。できれば、職場内の身近な人に相談することからはじめて問題解決の方法を探してほしいと思います。

仕事にかかわるストレスからうつ状態を強めているようなケースでは、職場の環境へのアプローチを考えます。精神科医が、受診した患者さんと話し合いを重ねた結果、職場環境への働きかけが必要だと判断した場合、いくつかの方法があります。

私なら、まず本人にそのような考えを伝えて、職場の上司とよく相談するようにすすめます。家族を交えて話し合って、家族から職場に伝えてもらう、意見書や診断書を書いて、職場の上司や産業医に伝達する、本人の了解をとって、本人もいるところで、上司や産業医に電話で連絡をするなどの方法があります。

ただ、日本の企業の場合、能力主義や競争主義も進んでいますが、家族主義的な傾向も根強く残っていて、会社の「外部」の精神科医からの意見があまり歓迎されないというケースも、ないとはいえません。

ですから、自信ややる気が落ちていたり、仕事がなかなか手につかない、朝会社に行くことを考えると気が重くなるなど、職場に関連した自分のつらい精神状態に気づいたときには、できるだけ、まず職場内で、上司、先輩、同僚など、相談できる相手を見つけてほしいと思います。職場に産業医がいれば、そこに相談に行くことも考えてみてください。

また、あなたの部下や後輩で、元気がなく仕事のミスが重なつたり、気分の落ち込みがはげしいようなときには、場合によっては医療的な対応や職場の環境面からの調整が必要になるかもしれないということも念頭に置いて、まず本人とよく話し合ってみてほしいと思います。

うつ病であることを職場で知られたくないという人もいます。けれども、とくに職場面での環境調整が必要になる場合、職場のだれにも病状こんなんを知らせないということは、実際にはなかなか困難です。

そのような悩みを抱える患者さんには、まわりの人はあなたのようすがいつもとは違うことに気づいていることが多いし、むしろ率直に相談したほうがらくになることが多いと話します。

また、どの企業でも成果のうりつ主義が強まっているので、がまんを続けるよりも、能率が落ちているいまは思い切って休んで、必要な治療をして、また元気になって成績を上げられるようになつたほうが得策だと説明するようにしています。