コラム法で現実を見る

頭の中で考えているだけでなく、紙に書いてみると、自分の考え方を見直すのに役立ちます。
「コラム法」と呼ばれている方法があります。

自分の考えや判断がどの程度現実にそっているかを、紙に書き出しながらチェックしていく方法として、「コラム法」があります。ノートででも便せんでもなんでもよいのですが、適当な紙に線を引いて欄(コラム)カに分けて、それぞれの欄に「状況」「不快な感情」「自動思考」「代わりの考え」「心の変化」と見出しを立てておきます。

  1. コラム1 状況

    つらい気持ちになつたり、なにか困ったことが起きたと。5 WIH (いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように) にのっとって、なるべく具体的に、客観的に書いてみましょう。

  2. コラム2 不快な感情

    そのときに自分がどのように感じたかを書きまます。たとえば、悲しい、恥ずかしい、いやだ、不安だ、腹立たしい、いらだつ、わるい、困った、ショックだ、かわいそう、うらやましい、うれしい、満足だ、といったさまざまな感情を、短いことばで書き込みます。あわせて、いちばん強い感情を100% として、そのときの感情が何% にあたるかも書いておきます。

  3. コラム3自動思考

    コラム2で書いた感情を体験したときに、あなたのなかに浮かんでいた考え(自動思考)を書き込みます。長くななってもかまわないので、ひとつひとつ追うようにしながら書き出してみてください。

    ここでも、まったく疑いなく信じられる場合を1 100%% として、その考えを何%くらい確信していたかということも書いておきます。このように%で表した数字で評価することには、自分の気持ちや考えを一歩引いて見直す練習という意味があります。

    気持ちが落ち込んでいるときには「いつも」「絶対」と決めつけるような考えを持ちやすくなりますが、そういう傾向を見直す手がかりになります。

  4. コラム4代わりの考え

    今度は、「では、別の考え方はできないだろうか」ということをできるだけたくさん考えて、書き出します。「根拠を探す」「結果を予測する」「代わりの考えを探す」ととっぴいう3 つのチェックをもう一度やってみるのも役に立ちます。少々突飛しやな思いつきも、簡単に書いておくようにします。そういうことが視野を広げる手助けになることもあります。やはり、その考えをあなたがどれくらい信じられるかを、%で評価しておきます。

  5. コラム5心の変化

    コラム4までを書き込んでみて、コラム2に記入した感情に変化があったか、コラム4で記述した自動思考がいまはどの程度信じられるかを、もう一度振り返り、それぞれ%で評価します。変化が見られて、気持ちがらくになっていれば、コラム4でやってみたような、代わりの考え方、新しい考え方が役に立ったといえるはずです。

    それはつまり、また似たような困った場面に出会ったり、つらい気持ちになったときに、そのような「別の考え方」が役に立つかもしれない、ということでもあります。あまり変化が見られないときには、もっと別の見方や考え方ができないかと、さらに探していけばよいのです。

だいたいこのような手順で、気持ちの落ち込みから視野が狭くなり、悲観的になりすぎているものの見方を見つめ直して、現実にそった見方に修正し、問題解決につながるように考えていくのが、認知療法の基本的な考え方です。

実際にうつ病の治療として行われるときには、おもに1対1の面接を通して、いま困っていることをいろいろと話し合ったり、問題点を整理したり、必要に応じて「コラム法」などの手法も使いながら、ものの見方の修正を進めていくことになります。

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