抗うつ薬使用中の躁状態

抗うつ薬を飲んでいる患者さんに一時的な躁状態が現れることがあるので、注意が必要です。早く気づくためには家族からの情報も重要です。

うつ病の抗うつ薬治療中には、一時的に躁状態になる患者さんもいます。このようなときには、いったん抗うつ薬の使用を中止したり、別の系統の薬を使ったりするなどの対応が必要になります。

抗うつ薬が効いてうつ症状が改善してきた状態と、抗うつ薬の影響による一時的な操状態は、見分けるのがなかなか難しいことがあります。

医師も人間ですから、いままで沈んで暗い雰囲気だった患者さんが、明るく元気な様子で受診してくれば、うれしい気持ちになります。「先生の薬はよく効きますね。いまはすごく元気でいい気分ですよ」「そうですか。それはほんとうによかったですね」というように、医師も患者さんといっしょに喜んだ気分になってしまい、患者さんの一時的な線状態に気づけないこともあります。

大声で話し続けたり、服装が急に派手になったり、ちょっと元気がよすぎるかなと感じるときには、私は本人に直接、「ちょっとテンションが高くありませんか」と聞いてみます。そうすると、「そういえば少し高い気がします」というような返事が返ってくることもあります。

睡眠状態がひとつの目安になることもあります。うつから不眠になっている人は、「昨夜も眠れなかった」「また早く日が覚めてしまった」と、なやくよくよと悩みますが、躁状態になると「もう元気ですから3時間も寝ればだいじょうぶです」と、眠らなくても平気だといったりします。

このほか、言動がなにかと度を越してしまい、周囲の人との小さいトラブルが急に増えたり、お金の使い方が荒くなったり、ふだんはしない危険なことをしたりします。

こういうことは、医師よりも、いつも本人を見ている家族や身近な人のほうが気づけることが多いと思います。これは一時的な操状態に限らず、うつ病治療中の全般についていえることなのですが、家族や身近な人が患者さんの「ちょっと気になる変化」に気づいたときには、ためらわずに医師に知らせてほしいと思います。直接話しにくければ、手紙を書くなどの方法もあります。そんな家族かきの情報が、治療の貴重な手助けになることがあるのです。このように、精神的な問題への取り組みでは、患者さんと医師だけでなく、家族もいっしょになってケアをしていくことがとても重要です。

躁状態とは

うつ状態とは逆に非常に気分が高ぶるとともに、活動性も増して、「いまの自分はなんでもできる」と思ってしまうような状態をいいます。

急交替型

躁病とうつ病の症状が一定の期間現れる状態を双極性障害といいますが、それがごく短期間に交代する(うつ病や操病の症状が1年に4回以上見られる) 状態を「急速交代型」の気分障害と呼びます。このような状態が、抗うつ薬治療によって生じている場合もあります。治療としては、気分安定薬を中心に行われます。こういう状態が長く続くケースもみられるので、しんぼう強く治療を続けることがたいせつです。

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