抗うつ薬をためらってしまう

うつ病のつらい症状をやわらげるために、まず抗うつ薬を試します。薬には様々なタイプがありますし、試してみなければどう効くかもわかりません。

うつ症状に悩んで精神科を受診した人に、あなたはいまこういう状態ですからこういうタイプの抗うつ薬を飲んでみましょうとすすめると、話としては理解しても、いろいろな理由で服薬をためらう人がいます。

「薬なんか飲んでも、どうにもなりませんよ」という人には、「飲んでみないとわかりません」「飲まないうちからなにも変わらないと決めつけるのは、後ろ向きすぎるとは思いませんか」と話します。

副作用を心配する人もいます。薬のタイプによっては、口のなかが渇べいたり、便秘、吐き気、頭痛など、いろいろな副作用が出ることはあります。しかし、医師の話をよく聞きながら服用すれば、心配なものではありません。心の病気になぜ薬なんだという人には、心の病気というよりは「気分の変調」で、それは「脳神経や脳内物質のアンバランス」が関係していて、薬によって調節できることがある、という話をします。

薬に慣れ、量も増えてやめられなくなるとか、ぼけてしまわないかと心配する人もいます。現在の抗うつ薬は、依存や中毒の心配はほとんどありませんし、人間が変わってしまうほど強い作用を持つ薬でもありません。

そんな薬を飲むくらいなら、タバコで気持ちを落ち着かせたり、お酒を飲んで気をまぎらわして寝てしまったほうがよいという人もいます。しかし、依存性や慣れて量が増えるという点では、アルコールやタバコのほうがずっと危険性が高いのです。

「薬に頼らなくてはいけないとは情けない」という人もいますが、脚の骨を折ったときには、ギプスをはめたり、松葉杖や車いすなどの補助具を一時的に使います。ふちょう精神的な不調をすべて自分の意志でコントロールすることはできません。

いまは精神的なエネルギーが低下しているので、薬を使って脳神経のバランスを整えて、つらい症状をやわらげようということです。自分の回復力を十分に引き出すために、薬の力も利用する、というくらいに考えて、なるべくらくな気持ちで薬とつきあっていくことがたいせつです。

抗うつ薬が効果を発揮するまでの期間

個人差はありますが、一般的には服薬を開始してから、2~3週間で効果が現れ始めるといわれています。この時点で状態の改善がみられない場合には、1~2ヶ月かけて徐々にその抗うつ薬を最大量にまで増量し、そのまま1~2ヶ月続けても効果がみられないときは、別の抗うつ薬に変えることを検討します。