人工ネギトロ

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マガノロをおろしたときに背や腹の骨にはへばりつくよ脂分の多い白っぽい身がついている。これを包丁の背でそぎ落とし、ネギと混ぜたのが「本物のネギトロ」。トロのように脂がのっているのでそう呼ぶようになった。

しかし、今は、まったく脂がのっていない赤身にある工夫をしてつくる「人エネギトロ」が、主流になっている。

この「人エネギトロ」が開発されたのは20年はど前だが、10年くらい前にマグロの水揚げで有名な静岡県の港近くの寿司屋でぴっくりする話を聞いた。ネギトロを注文して一杯やっていたら、板さんが言うのだ。「お客さん、最近はひどいネギトロが出回っているんですよ。マグロなんかまったく使っていないネギトロをつくって売っている。

マグロの脂身の代りに、イワシやサンマの赤身を使うんですよ。でもそれじゃ脂がのってないから、業務用のマーガリンを使う。ミンチ状にした赤身をマーガリンで混ぜ合わせると白っぽくなる。それから、ネギを混ぜ合わせるんだけど、嫌になるのは、一緒に化学調味料もぷっかけるんですよ。旨味を出すためと、艶を出すために使うと言ってましたね...と。

水産業界では、売れ行きが悪かった赤身の安い魚肉を、日本人の大好きな「トロ味」に変えた。人エネギトロ」は、革命的な発明と言われている。もっとも最近の健康志向で、脂分の多い「トロ」よりも「赤身」を好む傾向は強くなり、一時は年間3 00億円を超えた人エネギトロ市場もこの数年は、縮小傾向に入っていた。しかし、世界的なマグロ漁の規制強化で、06年に入ってマグロの値段が急上昇している。「人エネギトロ」が、復活しそうな雲行きである。

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