ファミレスチェーン店では定番の成形ステーキ。BSEの米国産牛肉の輸入がストップし外食産業は早期輸入再開を政府に求めた。安い牛肉が入手できなくなったのだから、ファミレスチェーンなどにとっては死活問題である。
とくに、痛手となったのは、ステーキの材料となる牛の横隔膜の肉(はらみ肉)が入らなくなったことだ。ファミレスチェーンの安いステーキは、はらみ肉や食肉加エの際に生じるカット屑肉を貼り合わせてつくられているものが多い。いわゆる成型ステーキである。
作り方はさまざまあるが、一般的なのは食品添加物の重合リン酸塩(効果をより高めるためにポリリン酸塩、ピロリン酸塩を一緒に使う)を結着剤として使う方法。
まず、屑肉やはらみ肉は硬くてそのままでは食べられないので、タンパク質分解酵素で柔らかくする。それをリテーナ(柱状の容器)に入れる。その際、和牛の脂身を重ねる。そして、結着剤の重合リン酸塩をあるいは卵白を加えて、脂身を何層にもしてアイロンをかけるように四方をプレスする。
結着剤によって肉の表面のタンパク質が変化するので見事に接着する。こうして、出来上がったブロック状の塊を一度冷凍してからスライスすれば、立派な1枚のステーキになるのだ。成型ステーキはプロでも見分けることは難しいが、150~200gで800円以下のステーキはまず、この成型ステーキと見ていいようだ。
牛肉だけでなく、豚肉、鶏肉、マトンなどの肉も入っている場合もある。はらみ肉は厳密には横隔膜肉だから内蔵肉である。そうなると気になるのは、やはりBSEだ。横隔膜は特定危険部位(目、脳、脊髄、小腸の一部)には指定されていないが、内臓は出来るだけ避けた方がいいというのが多くの専門家の見方。
とくに米国のBSE対策の杜撰さを目の当たりにするとよけいにそう思う。ステーキを食べるのなら、少し高いけど、全頭検査をしている和牛のロースかヒレを注文した方が安心。
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