職場、仕事の悩みが引き起こすうつ

仕事上のストレスや悩みと関連したうつの場合、医療的な対応と同時に職場環境の面かららの配慮やアプローチも大切な目のつけどころになります。

企業で働く人たちのうつも増えています。ひと口に職場のうつといってもさまざまな原因がありますが、そのひとつとして、各企業で進むリスストラや、成果主義・能力主義の導入を背景に、「役割の変化」が急増しているということがあるのではないでしょうか?

自分の畢たすべき役割が大きく変わるときというのは、喪失体験と並んでうつを引き起こしやすい人生上のできごとのひとつです。

たとえばこんな場面をイメージしてみてください。あなたは今度の人事異動で課長に昇進しました。ただし、これまで経験を鮮んできたのとは違う分野の、現在あまり業績がふるわない部署の立て直しを命じられたのです。

あなたはその不慣れな分野のことを一生懸命に勉強し、成績向上のためのプランを次々と立て、実行しようとします。

これでその部署の業績が短期間に上向けばよいのですが、そんなにすぐによい結果が出るとはかぎりません。その間には、古くからその部署にいる部下の反発など、さまざまな障害も出てくるでしょうし、あなたのほうでいら立ってことばを荒げて、部下との溝を広げてしまうような場面もあるかもしれません。

部署内で孤立して相談できる相手も不満のはけ口も見つからないと、うつ状態を強めていく可能性が高くなります。

こんなときには、まず、上司でも、先輩でも、かつての同僚でも、それなりの相談ができる相手を、できればなんとか同じ会社内で見つけたいところです。

社内に精神面の問題に対応できる産業医がいれば、そこで相談してみるというのもひとつの方法です。

この種の話題では、会社内の人に話すのをためらう人も少なくありません。そういう人に対しては、気持ちは理解できるが、いま精神的な悩みを自分のなかに閉じこめてしまうよりも、なんとか問題解決の方法を見つけて、また自分自身や部署の成績を上げられるようにすることのほうがだいじなのではないか、という方向で話すようにしています。

こういったケースの多くは、精神的な問題と仕事面の状況がからみ合っています。医師から出された薬がよく効くこともあれば、仕事の再配分や職場の異動などによって案外すんなり解決することもあり、医学的アプローチと職場環境の調整という両面からの対処がたいせつです。