大切な人の死別がうつのきっかけに

大切な人との別れは、気をつけなければならない大きな出来事のひとつでもあります。こここではとくに死別と残された人の反応についてです。

ぅっ病の発症は、人生上のできごとや、男女の別、年代などによって、いくつかのよく起こりがちなパターンのようなものがあります。そうした人生上のできごとでは、「喪失体験」といいますが、その人にとってたいせつな人や大事なものが失われたときに、うつが起こりやすいことがよく知られています。

なかでも、自分にとって重要な人の死は、だれにとっても悲痛な体験であるとともに、うつ病につながりやすいできごとでもあります。

精神疾患の診断分類「DSM-Ⅳ-TR」ではでは、「死別反応」という項目を立てて、うつ病との関連と区別を説明してます。

愛する人、かけがえのない人の死には、だれでも嘆き悲しみ、沈んだ気よく分になります。ただ、その抑うつ感が2ヶ月以上続くときは、うつ病の可能性も考えたほうがいいとしています。

また、次のような状態がみられるときもうつ病への注意が必要だとされています。

  1. その人の死に際して「ああすればよかった」「なぜこうしなかったんだろう」と思うことではなく、それ以外の事柄に対する罪悪感がある
  2. その人の死に関連して「自分が死んだほうがよかった」「いっしょに死ぬべきだった」と考えることではなく、それ以外の形での、自分の死に関する考えがみられる
  3. 自分はなんの役にも立たない」「生きている価値がない」というような、病的なまでの無価値感
  4. 頭になにも思い浮かばない、気持ちが動かないなどの、いちじるしい精神運動制止
  5. 日常生活や、仕事や家事などのことで、いつもやっていたことがほとんどできないというような状態が長く続く
  6. 亡くなった人の声が聞こえる、一時的に亡くなった人の姿が見えということ以外の、別の形での幻覚体験がある

たいせつな人の死に際して、一時的に「ふつうでなくなる」のはめずらしいことではありませんが、それがあまり長く続いたり、右のような傾向がみられるときには、専門医への相談なども考えてみるとよいと思います。

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