子供のうつ病は表に出にくい

子供のうつ病は、強いイライラ感や反抗的行動などとしてあらわれることがあります。そういう感情や行動の裏にある気持ちに目を向けることが大切です。

児童期や思春期の子どもも、引っ越しや転校などの大きな環境の変化や、だいじな友達や恋人との別れ、両親の離婚などといった喪失体験から、うつ病と呼ばれる状態にまで至ることがあります。

けれども、子どものうつ病の場合、その他の年代でのうつ病とは少しようすが違って、「イライラ感」や「問題行動」として現れることがよくあります。

「うつ」という気分は、まだ人生のいろいろな経験が少ない人にとっては、とらえにくく、わかりにくいものです。そのために、自分自身のことなのに、なにが起こっているのかがよく理解できず、表現もできず、ただ「つらい」という気分だけがずっとあり、強くなっていきます。それがちょっとした刺激に敏感に反応して、はげしい感情的なことばや、攻撃的な行動として現れやすいのです。

こんなにつらいのにだれにもわかってもらえないという気持ちから、小さい子どもでも、いうことを聞かなくなったり、暴れたりします。

思春期の子どもなら、まわりの人につっかかったり、反抗的な行動をとったりすることもあります。自分のことが自分でもわからず、表現できないいら立ちをまぎらわせるために、お酒やタバコ、ドラッグ類に手を出したり、自分を傷つけることもあります。

また逆に、まったくやる気をなくしたり、学校を続けて休んだり、自分の世界に閉じこもってしまう子もいます。このようなときに、まわりの人たちは、表に出ているイライラ感や反抗的な行動だけに目をうばわれずに、その裏にあるつらい気持ちに目を向けてあげましょう。そうすることで、子どもの傷ついた心がわかり、苦しさを援助できるかもしれません。

抗うつ薬の使用が効果を発揮することも少なくありません。ただし本人が、薬によっておとなに支配されるとか、自分が否定されえてしまうというように受け取ることも多く、強制的な服薬は決していい結果を生みません。子どものそのような心理状態に気を配って、本人ときちんと話し合いながら慎重に治療をすすめていくことが大切です。

春期とアイデンティティー

思春期は、家庭の中の「子ども」から、社会の中の「おとな」へと成長していく不安定な時期です。そして、そのなかで自分を見つけ、よいところもわるいところもあるひとりの人間として「自分を受け入れていく」たいせつな時期でもあります。思春期の心理では「自分は自分であるという感覚= アイデンティティー」を持つことが重要です。