行動の問題として現れて、周囲とのトラブルが増えたり、人柄が悪くなったなどと思われてしまうというのがうつ病が気づかれにくい3つめの理由です。
いつもイライラして怒りつぼい。すぐに周囲にあたり散らす。やけに話がこまかくてしつこい。身近にそんな人がいたら、どう感じるでしょぅか。
つきあいにくいな、いやな性格の人だな、とは思っても、もしかしたら病気のせいかもしれないと考える人は少ないと思います。
けれども、うつ病によってこのような行動面の問題が出てくることがあります。たとえば、サラリーマンなら異動、転勤や昇進のあとしばらくしてから、主婦ならば引っ越し先などで、そんなことが起こりがちです。はじめは一生懸命まわりにとけ込もうとするのですが、2~3ヶ月もたつと、だんだん疲れてきます。そこで、これではいけない、もっとがんばろうとあせる気持ちから、ことばや行動や人づきあいがつい乱暴になって、「最初はいい人だと思ったのに、けつこう性格がわるいな。見せかけだけだったんだな」と思われてしまうことがあります。
本人は、あせりも意地もあるでしょうから、だれかにつらい気持ちを打ち明けたり、相談する気持ちになどなれません。
まわりの人たちも、「もしかしたらなにかつらいのかもしれない」と共感的に見ることができにくくなっています。こうなってしまうと、自分もまわりも気づかないままに、本人はどんどんつらくなり、うつ状態を強めてしまうのです。
こういう状況に置かれている人に心境を聞いてみると、「そういえば気が短くなったような気がする」「キレやすくなった」「気持ちがおさえられない」というような答えが返ってくることがあります。
ですから、ここでもやはり、本人も、身近な人も、「いつもと違う」状態に早く気づけるかどうかがたいせつになってきます。
なんとなく気力がわかない、なんだか自信がなくなった、なにをやっても楽しめない、イライラがおさまらない、ひどく気分が沈んでいる...どの場合でも、「いつもと違う感じ」が2 週間たってもおさまらないか、かえってわるくなるようだったら、一度、精神科や心療内科の専門医に相談してみてください。
相談してみてなにも問題がなければそれで安心できますし、話すだけでだいぶらくになれるということもあるのですから。
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