骨なしの魚の人気が高い。調理が簡単でゴミもでない。もともとは病院食として開発された。1988年に登場したいが当初は病院食や学校給食向けだったが、4~5年前からスーパーにもお目見えし、一般家庭にも浸透してきた。
製造するのは大手水産会社をはじめに10社ほど。市場規模は03年で200億円をすでに突破しているというから、その急成長ぶりには注目が集まる。
開発策1号の魚種はタチウオ。それがいまやサンマ、アジ、サケ、タラ、カレイ、メバル、サワラ......と種類も豊富になってきた。そのはとんどが切り身の冷凍魚だが、なかにはサパの味噌煮といった調理品もあり、尾頭付きのタイもある。
魚といえば骨がつきもの。これを1本1木取り除くのが面倒と、若年層の間でも骨無し魚は大人気であるが、骨無し魚はアジアの女性たちが手作業で骨を抜いていることをご存じだろうか。加工場は労賃の安い中国やベトナム、タイに集中している。骨抜きの基本はまず冷凍魚を半解凍し、魚の背骨と腹骨を包丁や手術用のナイフでそそぎとり、残った小骨をピンセットで抜くというシンプルな作業。
その後に、接着剤で身を貼り合わせていく。接着剤の成分はトランスグルタミナーゼという酵素で、メーカーでは「ヒトの血液の凝固成分と同じものなので無害です」という。
一連の作業時間は魚種、つまり骨の本数などで違ってくるが、サンマの場合だと骨は230本あり、1匹30分はどで処理する。骨抜きが難しいのがサケ。遊離骨という魚肉の中にポツンと骨があり、これを探して取り除くのが厄介だからだ。
接着剤で身を貼り合わせた魚は真空パックして冷凍されるが、冷凍魚は解凍して再冷凍すると味が落ちる。実際、食べてみると分かるが、やはり少しベタツとした食感が気になる。食感もそうだが、気になるのはそのうちに、子どもたちが、魚に骨がないのを当たり前と思ってしまうことだ。実際、切り身が泳いでいると思っていた笑えぬ話がある。
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