「立ち食いそば」のファンはとても多い。「○○駅の立ち食いそばはスープが渡すぎる」「○○駅のてんぷらそばは衣だらけ」「あのチェーン店のそばは麺がうまくない」などと、ファン同士の情報交換もさかん。
立ち食いそば屋に限らないかもしれないが、いつも疑問に感じるのは、うどんもそばも同じ値段ということだ。「二八そば」とも言うように、普通、そばといえば「そば粉80%、小麦粉20%」の割合で、この比率がいちばんおいしいというのが定説とされている。
だが国産のそば粉は少なく、立ち食いそばチェーンで、国産そば粉を使用しているところはまずなく輸入のそば粉だ。小麦粉も輸入。同じ輸入ものとはいえ、そば粉と小麦粉の価格は倍以上違う。それなのにそばもうどんも同じ値段なのだ。立ち食いそばチェーン店の元従業員がそのカラクリを明かす。
「そば粉8、小麦粉2なんていうのは昔の話で、今は極端な話、小麦粉8、そば粉2の割合ですよ」小麦粉(うどん粉)が多くても体に吾があるわけではないが、おいしいそばを食べたければ、そばとうどんの値が違う店を探すべき。
小麦粉80%、そば粉20% 、チェーン店によってはそば粉10% のところもあるというから、小麦粉でそばをつくるようなものだ。しかし、そうすると解決しなければならない問題がある。色である。そば粉と小麦粉ではかなり違うから、着色料で黒や茶色に染めてそばのように見せなければいけない。立ち食いそばのそば・うどんは、製麺所でつくられ、ゆで麺にして各店に運ばれる。ゆで麺とはその名の通り、ゆでた麺の総称で、玉うどん、玉そば、焼きそば用中華そばなど様々ある。
客の前でサッとお湯に通して完了だが、生だけに腐りやすい。その日のうちに売り切れれば問題ないが、売れ残れば翌日にはネトネトが出てきて商品にならなくなる。そこで、腐らないように実に大変な工夫がされている。20数年前までは防腐剤として過酸化水素が一般的に使われていたが、発がん牲の疑いが強まり、今は実際上、使用できなくなった。替わってよく使われているのが、保湿効果と殺菌効果のあるPG(プロビレングリコール)やクエン酸、酢酸といったPH調整剤である。
つまり、「生」だからこそ添加物のお世話にならないといけないのだ。ところで、「生めん」や「生ギョーザ」の皮などに使用されるPGだが、日本でもっとも使用量の多い添加物である。というのは食品添加物は水に溶けにくいので、添加物を使う場合は、アルコールなどの溶剤が必要になる。その溶剤としても使われているからだ。ただ、この場合、加工用助剤といって、原材料表示はしなくても良い。
「信州そば」「更科そば」とか「讃岐うどん」など国内産の表示になっていても、そば粉、小麦はほとんど輸入ものである。輸入ものでも、粉をこねてそばやうどんにしたところが、例えば長野県なら「信州そば」と、香川県なら「讃岐うどん」と表示ができる。輸入ものの小麦やそば粉は国内産に比べて弾力や伸びがない。そこで「メタリン酸ナトリウム」などの食品添加物で伸びやシコシコ感を出していることも付け加えておきたい。
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