「和牛肉は脂っぼすぎる」とう声も聞かれるが、市場の評価は松阪牛に象徴されるように、霜降り(筋肉の間に脂肪がついている)の度合いが濃い牛肉はど高い。そこで登場してきたのが、安い輸入牛肉の赤身肉を人工的に霜降り肉に変えてしまおうという技術。
ある大手食品メーカーが開発した技術で、赤身の牛肉の中に和牛の脂肪と牛乳タンパクを注入するというもの。そうすると「安いわりにはやわらかくておいしい」牛肉の誕生となる。と畜された後の肉は硬直して硬い。その内がやわらかくなるのは、肉の熟成による。肉の熟成は、肉自体がもっている酵素の作用で行われるので、肉の自己消化作用ともいわれる。こうした原理を利用した赤身牛肉をやわらかくする薬剤も製薬会社から販売されたことがある。商品名は「植物起源たんぱく分解酵素製剤「精製パアピンF」。
パパイヤの未熟果実から抽出したプロテアーゼが成分で、食肉1kgに約50mgふりかけると、やわらかくなると商品力タログには記載されている。
また、肉エキスの製造にも使えるとある。しかも商品パンフには、使用しても食品添加物ではないから表示の必要はないとていねいに書かれている、これでは何が使われているのか消費者には分からない。食品加工技術の進歩といえば、聞こえはいいが、いかに安い原料に付加価値を高めて儲けを上げるかという技術で、本当に消費者のためになるのかといえば、はなはだ疑問である。もっともこうした人工霜降り牛肉が開発されたのも、日本人の霜降り信仰があまりにも強すぎることにも原因がある。ちなみにフードチェーンのステーキの場合、こうした製品には、「ヘルシーステーキ」とか、訳の分からないネーミングが付いていることが多い。
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