血糖値はなぜ上がるのだろう?

糖尿病は血液中のブドウ糖(血糖)が過剰に増えて、減るべきときに十分減らなくなってしまう病気です。この病気がなぜ問題かというと、過剰になった血糖が全身の血管を傷つけ、さまざまな合併症を起こすからです。

足の切断につながる壊痕、失明の恐れのある網膜症、放っておけば透析のお世話にならなければならなくなる腎症。さらに大きな血管がダメージを受けて、心筋梗塞や脳卒中を起こすこともあります。本来ブドウ糖は、エネルギー源となる大事な栄養素。これが全身の細胞に供給されなくなると、細胞はエネルギーをつくれなくなり、死んでしまいます。

それは、人が生きられないことを意味します。ところが、この大事な栄養素も、多すぎると体内で悪さをするようになります。いったい血糖とは何か? なぜ必要以1 に増えてしまうのか? まず糖尿病を引き起こす血糖について考えてみましょう。

糖質は、米(ご飯、もちなど)、小麦粉(パン、麺など)、イモ類、果物、砂糖などに多く含まれています。食事で摂取した糖質は消化酵素によってブドウ糖に分解され、小腸の血管から血液の中に吸収されます。この血液中に存在するブドウ糖を「血糖」といいます。

それを数値で表したものが血糖値(単位はmg/dl)です。この血液中に吸収されたブドウ糖のほとんどは、肝臓に送り込まれます。そして貯蔵しゃすい形の「グリコーゲン」(糖の仲間。1 g=4kcal) に変化して、肝臓内の細胞に蓄えられます。肝臓に取り込まれなかった残りのブドウ糖は、筋肉と脂肪組織に蓄えられます。脂肪細胞に蓄えられる場合は、中性脂肪の形に変化します。

食事をとったあとは、血液中に大量のブドウ糖がばらまかれ、急激に血糖値が高くなります。すると肝臓は急いでブドウ糖を取り込み、肝臓に蓄えます。肝臓に入りきれなかった残りのブドウ糖は筋肉や脂肪細胞に取り込まれます。ですから、食後2〜3時間すると血糖値は下がり、食べる前と同じくらいの値になります。就寝中など、食物を口に入れないときは血糖値が低くなりますから、今度は肝臓に蓄えておいたグリコーゲンをブドウ糖に戻して、血糖値を安定させ、またエネルギー源とします。

このように、食事をして摂取したブドウ糖が体の中で適切にエネルギー源として利用されることを、「糖代謝」といいます。糖代謝がうまくいかなくなると、血液中にブドウ糖が増えすぎてしまい、血糖値が高くなります。この高血糖が長く続いた状態が「糖尿病」です。