糖尿病は血圧コントロールが肝心

高血糖で傷ついた血管が破綻して出血したり、血栓(血管内の血液が何らかの原因で固まり、塊状になつたもの) が血管壁からはがれて流れ出すのは、そこに強い庄がかかっていることが大きく影響します。

糖尿病患者は、血糖のコントロールとともに血圧管理も大事で、血圧は上が130mmHG、下が80mmhGを維持できるように指導されます。なぜかといえば、血圧が130mmHGを超えるくらいから腎臓の血管は壊れ始めると考えられており、脳卒中も上の血圧が130 mHgを超えたあたりから、その発病が増加するからです。

腎臓には、小さな血管が糸くずのように絡み合って、体の老廃物を濾過してくれる糸球体があります。その小さな血管はパラフィン紙のように繊細で、とてももろい造りをしています。ですから、濾過するときに高い圧がかかると簡単に破れてしまいます。

そこで、血圧が重要なかかわりを持つようになります。人間の体はうまくしたもので、血圧が高くて腎臓の糸球体に高い庄がかかると、自律神経を通じて入り口の輸入細動脈を収縮させて、糸球体の圧を下げようとします。

ところが糖尿病の場合は、この自律神経のコントロールが糖尿病性神経障害のために比較的早期から壊れているので、輸入細動脈の収縮が起こらずに高い圧力がもろに糸球体にかかってしまいます。このため、血圧が高いと、高いままの庄が糸球体にかかり、糸球体はどんどん壊れていきます。

ですから糖尿病の人では、血圧の目標が130/80mmHg未満と定められているのです。

糖尿病と血圧管理の関係を調べた「UKPDS38」という研究があります。糖尿病患者を、薬で血圧をしっかり下げた群(厳格群)と緩やかに下げた群(非厳格群 に分けて糖尿病の経過を追跡調査したものです。両群の平均血圧は、厳格群144/82mmHg、非厳格群154/97mmHgという結果でした。

統計学的な有意差を持って、違いが出ました。とはいえ、両群でわずか10/5mmHGの差しかありません。このたかだか10mmHgの差ですが、厳格群ではとくに脳卒中と網膜症を減少させています。

日本人にとって、脳卒中は寝たきりの主因となる宿敵ともいえる病気です。この試験で使用された降圧剤は、βブロッカー(β遮断薬) とACEI( アンジオテンシン変換酵素阻害薬) です。βブロッカーは一般に糖尿病を悪化させるといわれている薬です。

一方、ACEIは日本でもよく使用されているARB( アンジオテンシンⅡ 受容体括抗薬) の親戚の薬ですが、糖尿病に好影響を及ぼすといわれています。ところが薬の違いよりも、血圧が下がったことで得られる好影響のほうが非常に大きいものでした。実際、日本では糖尿病があれば、ARBあるいはACEIを最初から使うことはなかば常識化していますが、薬を飲んでいるから大丈夫と安心せずにしっかり目標まで血圧を下げること。そのために、毎朝きちんと血圧を計ることがますます急務となってくると思います。

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