症状がなくても進行していく糖尿病の合併症

糖尿病と診断されても、ほとんどの場合、痛くも痺くもありません。しかし健診などを受けていない場合、糖尿病と診断されるまでに通常10年から20年の時間がたっており、自覚症状がなくても症状は進んでいて、体のあちこちが壊されています。

それが深刻な合併症となって現れるときには、すでに取り返しのつかないところまで糖尿病は進んでいます。さて、糖尿病の合併症といえば、糖尿病性腎症、糖尿病網膜症、糖尿病性神経障害が3大合併症としてよく知られています。

これらは、微小血管や神経が糖によって障害される病気です。このなかで、比較的早く症状が現れるのは神経障害です。末梢神経や自律神経が障害されて、手足のしびれ、感覚麻痔、胃腸障害、発汗障害、インポテンツ(ED) など、幅広い症状が出ます。糖尿病では感染が起こりやすくなっているため、ちょっとした傷からばい菌が入り、しかも末梢神経麻痔で痛みを感じなくなっていると、足壊痘に進み、足を切断することもあります。

ですから、つねに足の先や爪に留意する必要があります。糖尿病網膜症は、目の網膜や硝子体の毛細血管がもろくなり、破れて出血する病気です。網膜剥離を起こしたり、ひどくなると失明に至ります。成人の失明原因で多いのは、この糖尿病網膜症です。これに引き続き、白内障や緑内障を併発することもあります。

腎臓の糸球体に集まっている細い血管が障害を受けると、糖尿病性腎症になります。腎臓の濾過機能が低下するため、タンパク尿や全身のむくみなどが出る腎症になり、いずれ腎不全に進行して透析への道をたどります。

新規透析患者のうち、糖尿病性腎症によるものは年々増え続けており、2009年には44.5% にのぼりました。糖尿病は、全身の血管を傷つける病気です。私が「血管ボロボロ病」と呼ぶのも、そのためです。

血液中のブドウ糖の濃度が高くなると、血管の内側が傷つきます。その傷によとどこおって起きた出血を止めようと血液が固まり、血管を塞ぎます。このため、血流が滞りやすい毛細血管が次々に死んでいきます。毛細血管が密集している目や腎臓の糸球体に症状が出やすいのは、そのためです。これらの合併症は、発症から5年、10年たってようやく現れます。それまで、ほとんど自覚症状がありません。ですから、定期的な検査が必要なのです。

また、その裏で着実に進んでいるのが、大血管障害です。動脈硬化が進み、脳血管障害(脳卒中)、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症) など、命にかかわる重篤な病気が突然発症します。しかも、大血管の動脈硬化は糖尿病予備軍のうちから進行しているのです。

糖尿病の合併症