酒の飲み過ぎも動脈硬化の進行につながる

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

糖尿病を考えるうえで重要なのが、肝臓の働きです。肝臓の働きをもう一度おさらいすると、小腸で吸収されたブドウ糖を速やかに取り込み、グリコーゲンという形に変えて貯蔵します。そして、血液中のブドウ糖が少ないと判断すると、グリコーゲンを放出して全身の細胞にブドウ糖を供給します。

肝臓は血糖をコントロールしている臓器でもあるのです。ですから、いつも大量の糖質をとって肝臓を働かせすぎている人や、大量の飲酒で肝臓の機能が落ちている人は、血糖のコントロール機能も低下して、肝臓でのブドウ糖の取り込みの能力が落ちています。すると、食事でとった糖質で上がった血糖値が、なかなか下がらないという困ったことになってきます。

よく、「糖尿病ではなかったけれど脂肪肝と言われた」という人を見かけます。注意してください。「脂肪肝は早期糖尿病である」という考え方があります。脂肪肝にも大きく2 つあって、アルコールの摂取で起きるものと、アルコールをとらないのに起きるものがあります。通常私がよく見る脂肪肝は、アルコールの摂取によるものが多いと思います。「酒は百薬の長」といいます。しかし、お酒が薬だった時代、毎晩お酒を飲む人はそれほど多くありませんでした。私がまだ子どもだった1960年当時でも、毎日お酒を飲む人は、それだけでアルコール依存症のレッテルを貼られていたと思います。

そして、この時代は動物性タンパク質や脂肪は非常に高価で、珍しくもあったのでなかなか手が出ず、根菜や豆を中心とした植物性食品、そしてご飯をお腹いっぱい食べて、やっと1900~2000kcalという食事でした。このような環境でたまに少し飲むお酒は、気分を高揚させ、そして速やかに肝臓で代謝されて燃えてしまったと思います。

ところが現代は、ありあまるほどの動物性タンパク質と動物性脂肪で、1日のカロリーを2000kcalに抑えるのにみなさんがとても苦労しています。こうしたエネルギー、脂肪過剰状態に毎日アルコールが入ると、このアルコールはどうなるでしょうか。アルコールは体内で簡単に燃えてしまいますが、燃えていく最中にNADPH (ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸) という物質をつくって、中性脂肪を燃えにくくします。

またエネルギー過剰状態ですから、中性脂肪より簡単に燃えるものが体中にゴロゴロ転がっています。すると、現代人がおいしくいただいた脂肪は燃えずに残ってしまい、体にため込まれます。いわゆる、酒太りです。余った中性脂肪は、脂肪細胞にためられます。すると、脂肪細胞はさまざまな有害なホルモンをつくるようになります。

このホルモンが膵臓から出るインスリンの効きを悪くして、インスリンの抵抗性を高めます。つまり、ここから糖尿病が始まるわけです。さらにこの脂肪細胞がつくり出すホルモンには、動脈硬化を押し進める方向のホルモンが多数含まれています。内臓の脂肪細胞に中性脂肪がたまり始める頃には、肝臓にも脂肪がたまってきます。

肝臓は、元来ブドウ糖をグリコーゲンに変えて栄養をためるところですが、過栄養によって肝臓が満杯になると、もっと効率よく貯留できる脂肪(1g=9kcal)としてため込もうとします。これが、脂肪肝です。このような話をすると、必ずこんな人が出てきます。「どうしてもお酒を飲みたいから、あとのご飯は食べません」そこまでお酒を飲むことに命を賭けている人はそれでもけっこうですが、お酒を飲みすぎるといずれ肝臓の機能は落ち込みます。

肝臓の機能が落ち込めば当然肝臓でのブドウ糖の取り込みは悪くなり、血糖値がまた上がります。こうして高血糖と肝臓の機能低下の、悪循環に陥ります。アルコールのとりすぎは脂肪肝の原因になり、それが高血糖を招き、さらに動脈硬化を押し進める。この構図を、酒飲みのみなさんはよく覚えておいてください。

脂肪肝 | 健康メモ