ガンより怖い糖尿病

症状が現れたときには既に赤信号の放っておくと恐ろしい糖尿病

生活習慣が発症に影響する2型糖尿病

自覚症状がほとんどなく、症状が現われた時には手遅れになることが多い、サイレントキラーともよばれる「糖尿病」。糖尿病は、インスリンというホルモンの分泌や作用が低下し、高血糖が慢性的に続く病気です。

糖尿病には1型と2型があり、成人に多い2型糖尿病は、遺伝的要因の他、食生活の乱れや運動不足などの生活習慣が原因で発症することがわかっています。発症して間もない頃であれば、食生活や運動など生活習慣を改善することで軽快することもありますが、進行すると内服薬だけでなくインスリン自己注射の治療が必要になってきます。

糖尿病の初期症状は、のどの渇き、頻尿、多尿、食事をしたにもかかわらず空腹感がある、倦怠感などです。ただし糖尿病の初期は多くが無症状ですから、これらの症状を自覚した時は、かなり進行している可能性もあります。重症になると、合併症を起こします。その1 つが抹消神経の障害で、手足がしびれ、場合によっては足の切断を余儀なくされることもあります。また血糖値の高い状態が続くと網膜の血管が損傷し、重症になると失明することもあります。糖尿病腎症では、腎臓の毛細血管が損傷し、重症になると人工透析が必要になります。このように糖尿病は、全身の健康を脅かす恐ろしい病気です。今月は、自分が糖尿病だとわかっていながら数ヶ月にわたって通院も服薬もせず、お酒ばかり飲んでいたことで悲惨な状況に陥った、70歳の男性のお話をしたいと思います。

糖尿病でも通院しなかった70歳男性の場合

ご夫婦2人暮らしのこの男性、奥さまがいくら話しても開く耳を持たず、かかりつけ医はいたものの病院に行けば先生から叱られて「あれはダメ、これもダメ」と言われるのが嫌で、通院していなかったと言います。糖尿病がどのような病気で、放っておいたらどうなってしまうのか、ご本人も奥さまもよく理解されていなかったようです。

本人には自覚症状がほとんどない訳ですから、今まで通りお酒を好きな時に好きなだけ飲み、特に最近はまともな食事も取らず、昼夜関係なく好きな時に寝て、好きな時に起きる、という生活をされていたそうです。そのような生活をおくっていれば、糖尿病ではなくてもどこかおかしくなってしまいそうですよね。

通院と服薬を止めて4 カ月。ついに症状が出始め、体の異常が顕在化してきました。体重が減り、筋力が低下。手足がしびれて歩行が不安定になってしまいました。寝返りや寝起きもやっとの状態で、床ずれができてしまい、要介護認定の申請をすることになったのです。

早速、ケアマネジャーと一緒にご自宅にお伺いし、奥さまの他に同じ市内に住むお子さまも一緒にお話をさせていただきました。まずは何と言っても、かかりつけ医で診察を受けて、服薬をきちんとしていただくこと、必要な栄養補給(食事) をしていただくことをお願いしました。話を聞いて驚いたお子さまは、すぐにお父さまをかかりつけ医へ連れて行ってくださいました。当然のことながら、数値は基準値を大きく超える状態になっていました。

それでも何とか入院は免れ、自宅療養することになりましたので、弊社からは「介護用ベッド」や「床ずれ防止用具」、「手すり」のレンタルに加え住宅改修を行い、自宅内外の動線に手すりを取り付けさせていただきました。後は食事と服薬の管理をしっかりとなさって、適度に動かれることで数値が改善されるのを願うばかりです。

不摂生を続けると2人に1人は糖尿病に

糖尿 病で足の切断を余儀なくされた方、 腎臓が機能しなくなり週3回の人 工透析をされている方もいらっ しゃいます。いずれも症状がない からと、お医者さまから指示され た食事の取り方や服薬などを無視 して生活されてきた方ばかりです。 日本人は欧米人に比べ、遺伝的 に糖尿病にかかりやすい体質とい われています。特に40歳以上の日 本人男性は、不摂生を続けると2 人に1人は糖尿病になる可能性が ある、という詰も聞きました。 食生活の欧米化により、19 55 年に比べるとこの60年間で、糖尿 病の患者数は30倍に増えているの だそうです。 今回、改めて糖尿病という生活 習慣病の恐ろしさを目の当たりに した事例でした。そして糖尿病は5年生存率50%だということを忘れてはいけません

糖尿病は、5年生存率50%

糖尿病はAGEの除去がスムーズにできなければ、高血圧症、脂質異常症、糖尿病網膜症、白内障、右外転神経麻痔、足の爪白癖、副鼻腔炎、歯周病、睡眠時無呼吸症候群、腎不全と死に向かいます。これらが、血糖のコントロールがよくなったこの5年間に発症し、いまも進行しています。

純炭粉末はAGEを排除し腎不全・脳卒中・心筋梗塞を予防する

血液データの上では、この5 年間、ヘモグロビンA1Cが5.0 % を超えたことはありません。悪玉といわれるLDLコレステロールも、100mg/dl以下です。塩分だって1日6 g以上とっていません。SASの治療も毎晩まじめに続けています。

それなのに血圧の薬はだんだん効かなくなり、網膜症は進行し、白内障を発症し、副鼻腔炎を起こして手術し、右外転神経麻痔で物が二重に見えるようになり、足の爪は白く分厚く変形し、寝ていると1時間に50回も呼吸が止まります。

歯を抜けば歯根のう胞でばい菌だらけだし、CAPD(腹膜透析) の腹腔カテーテルはトンネル感染を起こしました。体のあらゆる部位で、一年中戦争状態です。もし、20年前に治療を始めておけば...。

しかし、みなさんに言っておきますが、20年前にいまの状態をイメージできたかというと、「絶対不可能です」、なぜなら、自覚症状も不自由なことも、何1つなかったのですから。糖尿病の大問題は、動脈硬化が進行することです。脳卒中が増え、心筋梗塞が増え、下肢動脈塞栓症が増えます。腎臓の微小血管がやられて腎不全になります。こうなると、5年生存率が50% 程度というとんでもない窮地に追い込まれます。

しかも、糖尿病は治りません。5年生存率50% ! これが何を意味するか、少し考えてみましょう。

がん思考なら、おそらく5年生存率という言葉になじみがあると思います。がんと診断されて、5年後に生きている可能性は何% か? それが50 % ということは、5年後に生き残っている人は100人中50人しかいないということになります。

国立がん研究センター(旧国立がんセンター)の統計によると、最初に発症した臓器だけにがんがある限局がんならば、膵臓がんや胆管がんなどを除いて、5 年生存率は軒並み75〜90 %以上。ある程度の広がりを持った領域がん(リンパ節転移や隣接臓器への転移があるがん)でも40〜60% 程度です。

最近は、治療成績がよくなった感があります。では、糖尿病にかかわる病気の生存率はどうでしょうか。海外の、しかも10年以上前のデータで恐縮ですが、こんな調査結果があります。糖尿病の有無と、心筋梗塞を起こしたかどうかによって、

  1. 糖尿病も心筋梗塞もない、
  2. 糖尿病はあるけれど心筋梗塞はない
  3. 糖尿病はないけれど心筋梗塞はある
  4. 糖尿病、心筋梗塞ともにある、

・心筋梗塞ともにある、の4つのグループに分けます。それぞれを長期にわたって観察し、生命予後を調べたところ、興味深い結果が出ました。

まず、糖尿病のない心筋梗塞の人と、糖尿病はあるけれども心筋梗塞のない人の10年存率に有意な差がないこと。つまり、糖尿病があるだけで、心筋梗塞の患者と同じくらい予後が悪いということです。

2つ日は、糖尿病と心筋梗塞の両方があると5年生存率は70〜80% 、10年生存率は50%程度になってしまうこと。

この数字、がんの生存率とあまり変わらないと思いませんか。次に、糖尿病患者が透析をするようになると、5年生存率はどうなるでしょうか。名だたる病院のレポートを見ると、糖尿病に起因する慢性腎不全の5年生存率は50% 程度(日本透析医学会の統計による)、最近の良好なデータを探しても、50% 程度です。

糖尿病に起因する慢性腎不全や心筋梗塞の5年生存率は、限局がんよりよろしくない。周囲に転移した領域がんと同等程度なのです。ところが、世間の人の反応は違います。私はいろいろなところで問いかけます。「いちばん怖い病気は何ですか」多くの人が「がん」と答えます。1 28そうですね。もしも「がんです」と宣告されたら、誰もが意気消沈することでしょう。ところが、がんの人はたくさんいて、けっこう長生きしています。私の地域に限っいてえば、過去5年間に亡くなった肺がん患者7名のうち、発病5年以内に亡くなった人は2名だけです。

しかもがんの方は、亡くなる1ヶ月くらい前までは、自分の足で病院にやってきます。前立腺がんなどは、前立腺がんが主な原因で亡くなった人を、私は一人も知りません。前立腺がんのほとんどは70〜80歳といった高齢で見つかることが多く、10年生存率は40.4% です。

80歳のおじいさんが、10年後まで生きている可能性が40.4 % といわれると、がんではなくてもそんなものだろうと納得してしまいます。ある高齢の患者さんは、私ががんを発見したときにこう言いました。「先生、ありがとう。おかげで私は死ぬ準備ができる」胸に迫るものがありました。

この患者さんは、まわりで糖尿病に起因する脳卒中をたくさん見てきて、その末期がみな、死にたいくらい苦しいのに死ねない、辛いものであったことを知っていました。「脳卒中ではなくて、本当によかった」残念ながらこの患者さんは、2年もしないうちに亡くなられましたが、死を前にして立派な有り様であったと頭が下がります。

がんは恐ろしい病気です。でも、知っておいてください。みなさんが「がん= 死」と感じているのと同じくらい、「糖尿病= 死」なのです。糖尿病はそれだけ、死と隣り合わせの病気なのです。

レガシーエフェクトの恐怖

最近、糖尿病との闘い方を考えるにあたって、医療者側に最も大きなインパクトを与えた研究は、20年にわたって行われた「UKPDS」です。UKPDSは、新たに発症した2型糖尿病患者5102例を対象に、血糖コントロール、血圧コントロールの血管障害への影響を追跡検討した研究です。

1977 年に始まり、20年後の1997年に終了しましたが、それに加えて10年間の追跡研究(UKPDS80)が行われました。

研究の概要を説明すると、こうなります。患者を従来療法群(食事療法や運動療法) と強化療法群(薬物療法)に無作為に分けて糖尿病を治療し、その経過を約10年観察します。結果的に、従来療法群のヘモグロビンA1Cは強化療法群のヘモグロビンA1Cは7.0%程度で推移し、医療者側は、当然強化療法群の予後が良好になるものと考えていました。

ところが、全死亡率、心筋梗塞の発症率では、強化療法群は従来療法に比べて統計学的に意味のある差をつけることができませんでした。そして脳卒中に至っては、強化療法群のほうがやや発症率が高いという傾向が出たのです。大ショックでした。

強化療法が従来療法より明らかにすぐれていたのは、網膜症など小さな血管の病気に関してのみで、生命に直接かかわる心筋梗塞や脳卒中に関しては、血糖のコントロールはさほど影響していないかもしれない、という結果だったのです。

これをどう解釈したらいいのでしょう。血糖値なんかどうでもいいのか?この結果を後押しするような研究が、次々と発表されました。ACCORD試験、ADVANC E試験、VAT 試験などです。いずれも、厳格な血糖コントロールは大血管障害の予後を改善しないという、医療者側にとっては理解しがたい結果でした。ACCOD試験に至っては、厳格な血糖コントロールが死亡率を増加させたという結果まで示されたのです。

血糖のコントロールに意味がないのか?この疑問に1つの光を与えてくれたのは、その後の追跡調査、「UKPDS80」でした。1997年にUKPDSに参加した人たちの強化療法、従来療法という区分けをなくすと、2年もしないうちに、両方のヘモグロビンA1Cの差はなくなりました。そして10年後の調査では、かつての強化療法群は網膜症などの微小血管障害だけでなく、全死亡、心筋梗塞において統計学的に意味のある差をつけて、かつての従来療法群より、より良好な予後となつていました。

かつて強化療法群で増加傾向であった脳卒中でさえ、10年後にはかつての従来療法群より減少する傾向を示したのです。この一連の研究は、大事なことを示唆しています。糖尿病は10年ぐらいの短い期間で考えたとき、血糖のコントロールはさほど意味がないかに見えても、20〜30年という長い期間で考えたときには、なるべく早い時期にキチンと血糖をコントロールすることが非常に重要だということがわかったのです。

もう、おわかりでしょう。いま、いくら血糖をコントロールできていても、初期のうちからまじめに治療を受けていなければ、一生糖尿痛に苦しめられるのです。いま私は、このレガシー・エフェクトの恐ろしさを、身をもって体験しています。この研究のことを繰り返し説明する理由はここにあります。血糖値が高めの人は可及的速やかに生活を見直し、ただ気をつけるだけでなく、実際に血糖値を下げる必要があるのです。

なぜレガシー・エフェクトが起きるのか。詳しいことはまだわかっていませんが、おそらくは前に説明しましたAGEという糖の燃えカスのようなものが関係していると思われます。これは細胞傷害性を持っており、一度体に沈着すると、長期にわたって細胞を傷害し続けます。だからこそ早期のうちから治療して、AGEをためないことが重要なのです。

AGEの除去はこちら

高血圧症の中に、「治療抵抗性高血圧」という薬の効かない高血圧があります。これは日本高血圧学会の近年のトピックで「利尿剤を含む3剤を使っても良好なコントロールを得ない高血圧」のことをいいます。

実は、この治療抵抗性高血圧、高血圧症患者の20〜30% は該当するといわれています。日本の高血圧症患者は推定約4000万人で、治療を受けている人は約800万人程度です。治療を受けていても200万人くらいは治療抵抗性高血圧であり、治療を受けていない人も加えると、おそらく300万〜500万人くらいは、この治療抵抗性高血圧に該当する可能性があります。

もっとも、「私はいつも血圧は150くらいで低めです」なんてトボケたことを言っている人が世の中にはあふれていますので、あまり細かくうるさいことを言っても始まらないのですが、この治療抵抗性高血圧と糖尿病が合併すると、ことが面倒です。

糖尿病は、ただでさえ動脈硬化が速く進みます。そこで糖尿病の人は、日常の血圧を130/80mmHg未満に調節することが、ガイドラインでも推奨されています。高血糖でただでさえ血管に傷がつきやすいところへ持ってきて、高血圧に血管がさらされると、ひとたまりもありません。

ところが、糖尿病と高血圧症はよくある組み合わせで、しかもなかなか手強い高血圧症が多いのです。そのとき、必ず試してみることがあります。1つは、「MR レセプターブロッカー」、「アルダクトンA」や「セララ」といった利尿剤を使ってみること。もう一つはSAS(睡眠時無呼吸症候群)を疑うことです。この2ちが当たると、薬の量が半分くらいに減るほど劇的な改善結果を示すこともあります。

全く薬で下がる気配すらなかったのに発酵黒豆エキスで一気に下がる場合もあって健康食品も馬鹿にできないのが本音です。

糖尿病は血圧コントロールが肝心

高血糖で傷ついた血管が破綻して出血したり、血栓(血管内の血液が何らかの原因で固まり、塊状になつたもの) が血管壁からはがれて流れ出すのは、そこに強い庄がかかっていることが大きく影響します。

糖尿病患者は、血糖のコントロールとともに血圧管理も大事で、血圧は上が130mmHG、下が80mmhGを維持できるように指導されます。なぜかといえば、血圧が130mmHGを超えるくらいから腎臓の血管は壊れ始めると考えられており、脳卒中も上の血圧が130 mHgを超えたあたりから、その発病が増加するからです。

腎臓には、小さな血管が糸くずのように絡み合って、体の老廃物を濾過してくれる糸球体があります。その小さな血管はパラフィン紙のように繊細で、とてももろい造りをしています。ですから、濾過するときに高い圧がかかると簡単に破れてしまいます。

そこで、血圧が重要なかかわりを持つようになります。人間の体はうまくしたもので、血圧が高くて腎臓の糸球体に高い庄がかかると、自律神経を通じて入り口の輸入細動脈を収縮させて、糸球体の圧を下げようとします。

ところが糖尿病の場合は、この自律神経のコントロールが糖尿病性神経障害のために比較的早期から壊れているので、輸入細動脈の収縮が起こらずに高い圧力がもろに糸球体にかかってしまいます。このため、血圧が高いと、高いままの庄が糸球体にかかり、糸球体はどんどん壊れていきます。

ですから糖尿病の人では、血圧の目標が130/80mmHg未満と定められているのです。

糖尿病と血圧管理の関係を調べた「UKPDS38」という研究があります。糖尿病患者を、薬で血圧をしっかり下げた群(厳格群)と緩やかに下げた群(非厳格群 に分けて糖尿病の経過を追跡調査したものです。両群の平均血圧は、厳格群144/82mmHg、非厳格群154/97mmHgという結果でした。

統計学的な有意差を持って、違いが出ました。とはいえ、両群でわずか10/5mmHGの差しかありません。このたかだか10mmHgの差ですが、厳格群ではとくに脳卒中と網膜症を減少させています。

日本人にとって、脳卒中は寝たきりの主因となる宿敵ともいえる病気です。この試験で使用された降圧剤は、βブロッカー(β遮断薬) とACEI( アンジオテンシン変換酵素阻害薬) です。βブロッカーは一般に糖尿病を悪化させるといわれている薬です。

一方、ACEIは日本でもよく使用されているARB( アンジオテンシンⅡ 受容体括抗薬) の親戚の薬ですが、糖尿病に好影響を及ぼすといわれています。ところが薬の違いよりも、血圧が下がったことで得られる好影響のほうが非常に大きいものでした。実際、日本では糖尿病があれば、ARBあるいはACEIを最初から使うことはなかば常識化していますが、薬を飲んでいるから大丈夫と安心せずにしっかり目標まで血圧を下げること。そのために、毎朝きちんと血圧を計ることがますます急務となってくると思います。

高血圧関連サイトリンク

糖尿病と診断されても、ほとんどの場合、痛くも痺くもありません。しかし健診などを受けていない場合、糖尿病と診断されるまでに通常10年から20年の時間がたっており、自覚症状がなくても症状は進んでいて、体のあちこちが壊されています。

それが深刻な合併症となって現れるときには、すでに取り返しのつかないところまで糖尿病は進んでいます。さて、糖尿病の合併症といえば、糖尿病性腎症、糖尿病網膜症、糖尿病性神経障害が3大合併症としてよく知られています。

これらは、微小血管や神経が糖によって障害される病気です。このなかで、比較的早く症状が現れるのは神経障害です。末梢神経や自律神経が障害されて、手足のしびれ、感覚麻痔、胃腸障害、発汗障害、インポテンツ(ED) など、幅広い症状が出ます。糖尿病では感染が起こりやすくなっているため、ちょっとした傷からばい菌が入り、しかも末梢神経麻痔で痛みを感じなくなっていると、足壊痘に進み、足を切断することもあります。

ですから、つねに足の先や爪に留意する必要があります。糖尿病網膜症は、目の網膜や硝子体の毛細血管がもろくなり、破れて出血する病気です。網膜剥離を起こしたり、ひどくなると失明に至ります。成人の失明原因で多いのは、この糖尿病網膜症です。これに引き続き、白内障や緑内障を併発することもあります。

腎臓の糸球体に集まっている細い血管が障害を受けると、糖尿病性腎症になります。腎臓の濾過機能が低下するため、タンパク尿や全身のむくみなどが出る腎症になり、いずれ腎不全に進行して透析への道をたどります。

新規透析患者のうち、糖尿病性腎症によるものは年々増え続けており、2009年には44.5% にのぼりました。糖尿病は、全身の血管を傷つける病気です。私が「血管ボロボロ病」と呼ぶのも、そのためです。

血液中のブドウ糖の濃度が高くなると、血管の内側が傷つきます。その傷によとどこおって起きた出血を止めようと血液が固まり、血管を塞ぎます。このため、血流が滞りやすい毛細血管が次々に死んでいきます。毛細血管が密集している目や腎臓の糸球体に症状が出やすいのは、そのためです。これらの合併症は、発症から5年、10年たってようやく現れます。それまで、ほとんど自覚症状がありません。ですから、定期的な検査が必要なのです。

また、その裏で着実に進んでいるのが、大血管障害です。動脈硬化が進み、脳血管障害(脳卒中)、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症) など、命にかかわる重篤な病気が突然発症します。しかも、大血管の動脈硬化は糖尿病予備軍のうちから進行しているのです。

糖尿病の合併症

酒の飲み過ぎも動脈硬化の進行につながる

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糖尿病を考えるうえで重要なのが、肝臓の働きです。肝臓の働きをもう一度おさらいすると、小腸で吸収されたブドウ糖を速やかに取り込み、グリコーゲンという形に変えて貯蔵します。そして、血液中のブドウ糖が少ないと判断すると、グリコーゲンを放出して全身の細胞にブドウ糖を供給します。

肝臓は血糖をコントロールしている臓器でもあるのです。ですから、いつも大量の糖質をとって肝臓を働かせすぎている人や、大量の飲酒で肝臓の機能が落ちている人は、血糖のコントロール機能も低下して、肝臓でのブドウ糖の取り込みの能力が落ちています。すると、食事でとった糖質で上がった血糖値が、なかなか下がらないという困ったことになってきます。

よく、「糖尿病ではなかったけれど脂肪肝と言われた」という人を見かけます。注意してください。「脂肪肝は早期糖尿病である」という考え方があります。脂肪肝にも大きく2 つあって、アルコールの摂取で起きるものと、アルコールをとらないのに起きるものがあります。通常私がよく見る脂肪肝は、アルコールの摂取によるものが多いと思います。「酒は百薬の長」といいます。しかし、お酒が薬だった時代、毎晩お酒を飲む人はそれほど多くありませんでした。私がまだ子どもだった1960年当時でも、毎日お酒を飲む人は、それだけでアルコール依存症のレッテルを貼られていたと思います。

そして、この時代は動物性タンパク質や脂肪は非常に高価で、珍しくもあったのでなかなか手が出ず、根菜や豆を中心とした植物性食品、そしてご飯をお腹いっぱい食べて、やっと1900~2000kcalという食事でした。このような環境でたまに少し飲むお酒は、気分を高揚させ、そして速やかに肝臓で代謝されて燃えてしまったと思います。

ところが現代は、ありあまるほどの動物性タンパク質と動物性脂肪で、1日のカロリーを2000kcalに抑えるのにみなさんがとても苦労しています。こうしたエネルギー、脂肪過剰状態に毎日アルコールが入ると、このアルコールはどうなるでしょうか。アルコールは体内で簡単に燃えてしまいますが、燃えていく最中にNADPH (ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸) という物質をつくって、中性脂肪を燃えにくくします。

またエネルギー過剰状態ですから、中性脂肪より簡単に燃えるものが体中にゴロゴロ転がっています。すると、現代人がおいしくいただいた脂肪は燃えずに残ってしまい、体にため込まれます。いわゆる、酒太りです。余った中性脂肪は、脂肪細胞にためられます。すると、脂肪細胞はさまざまな有害なホルモンをつくるようになります。

このホルモンが膵臓から出るインスリンの効きを悪くして、インスリンの抵抗性を高めます。つまり、ここから糖尿病が始まるわけです。さらにこの脂肪細胞がつくり出すホルモンには、動脈硬化を押し進める方向のホルモンが多数含まれています。内臓の脂肪細胞に中性脂肪がたまり始める頃には、肝臓にも脂肪がたまってきます。

肝臓は、元来ブドウ糖をグリコーゲンに変えて栄養をためるところですが、過栄養によって肝臓が満杯になると、もっと効率よく貯留できる脂肪(1g=9kcal)としてため込もうとします。これが、脂肪肝です。このような話をすると、必ずこんな人が出てきます。「どうしてもお酒を飲みたいから、あとのご飯は食べません」そこまでお酒を飲むことに命を賭けている人はそれでもけっこうですが、お酒を飲みすぎるといずれ肝臓の機能は落ち込みます。

肝臓の機能が落ち込めば当然肝臓でのブドウ糖の取り込みは悪くなり、血糖値がまた上がります。こうして高血糖と肝臓の機能低下の、悪循環に陥ります。アルコールのとりすぎは脂肪肝の原因になり、それが高血糖を招き、さらに動脈硬化を押し進める。この構図を、酒飲みのみなさんはよく覚えておいてください。

脂肪肝 | 健康メモ

グルコーススパイクが動脈硬化を促進させる

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食後高血糖がなぜ動脈硬化を促進させるのか。その答えを導きだす興味深い研究結果が、最近いくつか報告されています。血管の中を高い糖度の糖(実験では果糖を使っています)を流すと、単球という白血球の一種がたくさん血管の壁にへばりつきます。この単球接着という現象は、動脈硬化のスタートになる現象です。

血管の壁に接着した単球は血管の内皮細胞の中に入り込み、内皮細胞の下に沈着したLDL (悪玉)コレステロールを食べて大きくなります。将来これがプラーク(粥腫) というコレステロールの塊になり、動脈硬化を促進させます。

しかしそれだけでなく、単球の接着から始まって動脈硬化まで進める過程の引き金を、高血糖が引いていることがわかってきました。高血糖というと、持続的に血糖が高い状態と思いがちですが、それよりも急激に血糖値が高くなることを何度も繰り返すことで、この単球接着が起こり、動脈硬化が進行するようなのです。

この、急激に血糖値が高くなることが「グルコーススパイク」です。糖尿病予備軍(境界型糖尿病) と呼ばれる人は、全員とは言いませんが、おおむね食後高血糖の人だろうと考えられます。食後、急激に高血糖になると、血管の壁に単球の接着が起こり、動脈硬化が進みます。そう考えると、いつも血糖値が高い糖尿病と、正常の人より食後に血糖値が高くなる食後高血糖との間に、心血管疾患の出現率の差があまりないうなずことも頷けます。

つまりどちらも、食後にグルコーススパイクが起きているのだと思います。ですから、この血糖値の急激な上昇を抑えることが、全身の血管を守るために重要なことなのです。

危険なのは食後の高血糖

最近、糖尿病で旬な話題といえば、やはり食後高血糖の問題です。食後高血糖とは、文字どおり食後の血糖値が高い状態です。食事をすると、ブドウ糖が血中に吸収され、血糖値が上がります。しかし、インスリンがすぐに分泌されてブドウ糖は細胞に取り込まれ、血糖値は下がっていきます。ところが、このインスリンの作用に異常があり、食後2時間たっても血糖値が下がらない。これが、食後高血糖です。

食後高血糖であるかどうかは、ブドウ糖負荷試験を受ければわかります。ただしこの検査は糖尿病の疑いがある場合に実施される検査なので、誰でも受けられるわけではありません。ブドウ糖負荷試験の判定基準は、ブドウ糖が入ったジュースを飲んで2時間たったときの血糖値が140mg/dl未満は正常、200mg/dl以上は糖尿病と診断されます。

そして正常と糖尿病の境界域(140~220mg/dl未満) は「食後高血糖(IGT)」と呼ばれ、「境界型糖尿病」と診断されます。

ブドウ糖が入ったジュースを飲む前の空腹時血糖値が境界型(110~126mg/dl未満)の場合は「空腹時高血糖(IFG)」と呼ばれ、こちらも同じように「境界型糖尿病」と診断されます。

日本の分類は、糖尿病型、境界型、正常型の3段階ですが、WHO(世界保健機関)の分類はIFG、IGTを入れた4段階です。最近とくに食後高血糖が重視されているのは、国内外の疫学調査や大規模臨床試験で、食前の空腹時血糖値は正常でも食後の血糖値が高いと、心血管疾患(心筋梗塞など、大きな血管の病気) を発症する頻度が2 倍以上に上がることが明らかになったからです。

国内では、1990年にスタートした山形県舟形町の疫学調査があります。40歳以上の糖尿病健診の受診者を、血糖値正常群、空腹時高血糖群、糖尿病群の3群に分けて10年間観察し、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症) と脳梗塞における死亡の累積発生率を調べたところ、空腹時高血糖群は正常群と有意差(統計学上たしかに差があり、偶然起こったことではないといえる結果のこと) がありませんでした。

つまり空腹時血糖値は、糖尿病の可能性のある人を検出するために必要な検査ですが、必ずしも予後を反映してはいないようです。ところが、正常群と食後高血糖群、正常群と糖尿病群の間には有意差があり、7年後の累積生存率は食後高血糖群と糖尿病群との間に大差がなかったのです。

空腹時高血糖も食後高血糖も、日本の診断では「境界型糖尿病」とひとくくりにされます。しかしこの研究結果により、食後高血糖は心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険度が高いことがわかりました。明らかな糖尿病ではないにもかかわらず、糖尿病と同じような速さで大きな血管の障害が進んでしまうのです。

ところが、日本の健診でわかる糖尿病の一般的な検査項目は、空腹時血糖値とHbAICの2項目です。ブドウ糖負荷試験を受けるか、食後1〜2時間をねらって検査をしないと、食後高血糖かどうかを判断するのはむずかしいのです。

ただし、ヘモグロビンA1Cで食後高血糖の有無を予測することはできます。食後高血糖はヘモグロビンA1C 5.2 %を超えると出現し始めます。最近、空腹時血糖値は正常範囲でも、ヘモグロビンA1Cが少し高い(5.2〜6.1%未満)という人が増えています。

少し前まで、ヘモグロビンA1Cが5.8 %くらいで医療機関を受診すると、「糖尿病予備軍の段階ですからまだ大丈夫。様子を見ましょう」と、ブドウ糖負荷試験をすることもなく帰されるケースが少なくありませんでした。しかし最近では、食後高血糖を積極的に検出し、早い段階から生活習慣の改善を促すような流れに変わっています。ほかにも糖尿病を診断する検査方法はありますが、まずは健診や人間ドックを受けて空腹時血糖値やヘモグロビンA1Cの値を確認すること。そして境界型糖尿病や食後高血糖が見つかった時点できちんと対応しなければ、取り返しのつかないことになつてしまいます。

糖尿病の診断基準

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2010年に、それまで参考所見にすぎなかったヘモグロビンA1Cが糖尿病の診断基準に取り入れられました。以前は血糖値で糖尿病を診断することが基本でしたが、いくつか面倒な問題がありました。

たとえば、健診でたくさんの人の空腹時の血糖値を計ろうとすると、2つの問題によく出くわします。

1つは、健診の何日か前から食うや食わずで血糖値を下げて、健診に引っかからないように必死の努力をする人が必ずいることです。私の知る、とある製薬会社に勤める人は、なんと健診の1ヶ月前から体重を5kgくらいしぼって健診に臨みます。健診が終わったその日は、糸の切れたタコ状態で飲んで食べるそうです。

気持ちはわかりますが、これでは、3ヶ月もするともとに戻ってしまい、健診の意味がありません。

もう1つは、健診で何百人もが受診すると必ず何十人単位で「ご飯食べちゃった」とか「牛乳飲んだんだけど」とか言う人がいます。食べ物が影響する指標はまず体重ですが、血糖値と中性脂肪値も大きく食事の影響を受けます。

そこで、ヘモグロビンA1Cの登場です。この指標は、2 ~3 日食事制限をしたり、健診当日、朝食を食べてしまっても大きな影響を受けません。ただ、健診での必須項目かというと、血糖値かHヘモグロビンA1Cのどちらかを計ればよいことにななっていますので、検査コストが高めのヘモグロビンA1Cを省く自治体も少なくありません。

健診で空腹時血糖値が1100~125mg/dlの人は、当面、境界型として取り扱われます。126mg/dl以上の糖尿病領域の人はもちろん、境界型の人も別の日にブドウ糖負荷試験を受けて正しい判定を受けることが望ましいと思います。

そのとき最初に起きる問題は、糖尿病ではないことを理由に再検査、あるいはさらなる精密検査を受けないまま放置する人が意外と多いことです。さらに、受診者が再検査を受ける気になつても、医療費を考慮して医師サイドが消極的な場合もあります。

さて、診断の手順は医師の裁量に任されていますが、境界型の血糖値を見たら、まず、ヘモグロビンA1Cと空腹時血糖値の再検査、あるいはヘモグロビンA1Cと食後1〜2時間の血糖値を知りたいと思うのが人情です。ヘモグロビンA1Cも高ければ、ブドウ糖負荷試験という精密検査をしてみようと考える医師は多いと思います。

つまり、最低2回は血液を調べないと、ブドウ糖負荷試験までたどり着かないという、健診を受ける人も医師もとても面倒くさい手順なのです。しかし新しい診断基準は、ヘモグロビンA1Cを組み込むことによって、より簡略な手順での診断を可能にしました。

もう1つのメリットは、ヘモグロビンA1Cを計って6.1% 以上なら、随時の血糖値、空腹時血糖値、症状の有無(口渇、多飲、多尿など) を参考に診断を下すことが可能なことです。血糖値、ヘモグロビンA1Cのいずれか、あるいは両方異常値が出れば、最低でも「糖尿病の疑い」というカテゴリーで経過観察を要するというのが、専門医の先生方の共通認識のようです。

糖尿病の診断に関しての細かい手順の説明は省きますが、心して知っておいてほしいことは、世の中には、「なるべく病人を出したくないと考えて、少々のことには目をつぶる人(医療サイド)、あるいは目をつぶってほしい人(患者サイド)」と、「何の症状もなくまったくの健康なときから発生の芽を摘んで豊かな未来を築こうとする人」の2種類の人種がいるということです。

あなたがどちらなのか、そしてあなたとかかわる医師や健康サービスがどちらなのか、あなた自身が心して見定めて、ご自分や家族の健康と未来の設計をしていただきたいと思います。最後に改めて整理しておきます。

糖尿病の診断

血糖値
空腹時126mg/dl以上、または食後2時間200mg/dl以上糖尿病型糖尿病型でも正常型でもないもの境界型
ヘモグロビンA1C
5.2 %未満正常5.2~6.1% 要指導(注意が必要)6.1% 以上受診勧奨(糖尿病の可能性がきわめて高い状態)

日本と欧米では、ヘモグロビンA1Cの測定方法が違います。日本の測定方法で得られた値はJDS値、欧米はNGSP値といい、JDS値は GSP値より0.4 % 低い備になります。1今後JDS億は廃止されてNGSP値に統一されることが決まっており、現在のヘモグロビンA1Cの基準値6.1% は6.5% に変わります。