数、量がともに少なく、値段が高い食品の代替品として出回っているのがコピー食品。歴史をたどると、豆を使って肉に見せかけた精進料理もそれに分類されるひとつでもある。そのコピー 商品の代表的存在だったのが人造イクラ。
これは食品会社ではなく、日本カーバイドエ業という化学品・樹脂の会社が開発したもの。
天然のイクラの原料はサケ・マスの卵が使われるが、コピー食品のイクラは魚卵を一切使っていない。原料は外側の被膜、中身の溶液、中身の目玉でそれぞれ違う。被膜には海藻から抽出したアルギン酸ナトリウムをカルシウムで凝固させたものが使われる。中身の溶液は、増粘多糖類の一種であるカラギーナンやゼラチン、ペクチンなどの混合物でつくられる。中身の目玉はサラダオイルを着色したものでつくる。これで人造イクラのできあがり。
では本物と比較して栄養価はどうなのだろうか?
変わらないのは脂質だけで、、あとは大きな差がある。とくにタンパク質は本物の90分の1しかないというデーすがあるほど。この人造イクラ、かつては回転寿司などで幅広く利用されていたが、本物のイクラが安くなり、また、食品の偽装表示が相次いだことで出回らなくなってきている。しかし、各地の消費者センタIには、「皮がかたい。人造イクラではないか」という苦情が持ち込まれており、完全に市場から消えたわけではない。皮がかたいというのは人造イクラの特徴だが、見た目で見分けるのはかなり難しい。そこで簡単に見分ける方法を記しておこ1つ。本物はタンパク質が豊富なため、熱湯につけると白濁するという特徴があるが、人造イクラはほとんど変化しない。回転寿司で注文したいくらの一粒をお湯につけてみるといい。本物か?偽物?かがすぐにわかる。
本物か?偽物か?という真偽はともかく、かの化学の力でつくられたいくらの精巧さには驚かされる。
国産の安心いくら→北海道産のいくら