現在の日本では、ごく一部の地域をのぞいて、飲料水・生活水は水道水に依存しています。日本全国で、水道の普及率は95% 以上に達しています。
しかし、特に都市部を中心にして、この水道水が「まずく」 なってしまいました。単に味の問題ではありません。「まずく」なったということは、健康に悪影響を与える可能性が高くなったということにはかならないのです。
したがって、各家庭の水道の蛇口に浄水器を設置するのはすでに必須、健康を考えるなら絶対に必要なことです。しかし重ねて強調しておきましょう。水道水がまずくなり、健康への悪影響さえ懸念されるようになった責任は、水道局にあるわけではありません。
対策の遅れという意味である程度の責任はあるかもしれませんが、もともとの水源である河川や湖沼の水を、以前以上の対策が必要なはどに汚している原因の1 つに、私たちの生活から発する雑排水があるからです。
あなたはみそ汁やスープの残りをそのまま流して捨てていたりはしないでしょうか。これは水を汚してしまう元凶の1つです。食器洗いや洗濯に、界面活性剤入りの合成洗剤を使ってはいないでしょうか。
これも元凶の1 つです。界面活性剤入りの合成洗剤は、自然界で分解されにくいため、セッケンよりもはるかに環境を汚しています。下水道の普及率の低い日本では、こうした私たちの生活から発する雑排水がそのまま河川や湖沼に流れこんでしまうと思ったはうがよいでしょう。すると河川や湖沼の水は富栄養化( つまり栄養過多です。肥満状態の水と思ってもよいでしょう) されてしまい、ラン藻類のアオコなどを大量に発生させてしまいます。
大阪市の水道がそうであるように、富栄養化した水を水源とする、つまりは生活雑排水が流れこんだ河川や湖沼を水源とする水道も決して少なくはないのです。
では、河川のごく下流の地域、海に近い地域で生活している人なら、生活雑排水をたれ流しにしても問題ないのでしょうか。たしかに水道水の質に直接影響するようなことはないかもしれません。しかしそのおかげで、
たしかに水道水の質に直接影響するようなことはないかもし
生命の源である海は確実に汚染され続けます。そのツケは、必ず、何らかの形で私たちの身に降りかかってくるのです。いかに広大な海といえども、それが持つ自浄能力は無限ではありません。
さて、富栄養化した水源に発生するラン藻類の中には強い発ガン性を持つものもあります。そればかりでなく、そのままでは害になる各種の有機物や化学物質も混入しています。したがって水道局がするべき仕事は並大抵ではありません。
汚染された原水を浄化するためには、いく重もの浄化処理工程が必要になります。それでも完全には浄化しきれないとなれば、本来の基準よりも多い塩素ガスや次亜塩素酸を投入して、微生物の活動やカビの発生を抑えなければなりません。
塩素は本来が毒物です。毒物であるからこそ、微生物やカビの活動や繁殖を抑える殺菌剤・消毒剤としての役目を果たせるのです。しかし、そうである以上は私たち人間の細胞にもダメージを与えます。さらに深刻な側面があります。
水道水中の有機化合物( 原水が汚染されている現状では、浄水後の水道水にも微量な有機化合物が残留していることを否定しきれません) と遊離塩素が反応すると、クロロホルムに代表されるトリハロメタン類ができてしまいます。このトリハロメタンは、強い発ガン性が指摘されている物質です。水道局が供給する水であるかぎり、水道法の上ではトリハロメタンは存在しないことになっています。
これは1993年暮れに施行された新水質基準法によって定められています。しかし現実は、となれば必ずしも安心できません。たとえば長い水道管中( とても古くなっている部分が少なくありません) で、周辺の有機化合物を含む水がしみこんでしまう可能性は否定しきれません。
またビルやマンショソなどのように、いったん受水槽に水をためてから各戸に配水する場合には、何らかの理由で受水槽に入りこんだ有機物( ネズミ・小鳥・昆虫などの死骸など。定期点検をしっかり実施していない受水槽では、こうした実例が少なくないと思われます) が、トリハロメタン発生の元凶となるかもしれません。
いかがでしょう。こうした現実を知ればなおさらのこと、最低限でも蛇口に浄水器を設置することが不可欠だと納得していただけるでしょうか。私たちは、浄水器だけでは不十分だと思っています。本当の意味で健康に積極的に寄与する「体に調和する水」 を得るためには、より確実な水処理法を選ぶことが必要なのです。
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