体内の活性酸素をすぐに消し去る抗酸化ビタミンの効果

抗酸化ビタミンは、ビタミンC、E、βカロチンの3種類

抗酸化ビタミン、すなわち活性酸素やフリーラジカルを消去する作用のあるビタミンは、C 、E、β カロチンの3種類です(β カロチンは正確にはプロビタミンA で、カロテノイドの一種です。しかし、すでに述べたようにビタミンA の半分をβカロチンからとることが望ましいとされていますので、ビタミンの一種と認識しておいてもいいでしょう)。

ビタミンCは水溶性、Eとβカロチンは脂溶性です。私たちの体には、水の多い場所と 油の多い場所があります。細胞周辺でいえば、細胞膜はデリケートな抽を主成分とする一方、細胞の内や外は水で満たされています。

活性酸素は水の多い場所でも油の多い場所でも発生しますので、ビタミンC、ビタミンE、β カロチンは役割を分担したり、互いに協力し合いながら、神出鬼没の活性酸素やフリーラジカルを効率よく消去しているものと考えられています。

血漿中の活性酸素を即座に消去するビタミンC

ビタミンC はスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素をいずれも消去できますが、最も重要な働きはスーパーオキシドの消去です。

スーパーオキシドと反応する速度をSODと比較すると、ビタミンCのそれは7000分の1 にすぎません。しかし、血漿(血液の液体成分)のようにSOD活性の低いところではビタミンCのスーパーオキシド消去作用が重要な意味を持ちます。

ヒトの血漿をとり、水溶性のラジカルを発生させる実験を行うと、まずビタミンC濃度が急激に低下するのが観察されます。次いでヒリルピン(胆汁色素)、尿酸、ビタミンEの順に消費され、これに伴ってコレステロールや中性脂肪が酸化された結果、過酸化脂質が血漿中に増加しはじめます。この実験からは、血漿などの水に多い場所に活性酸素やフリーラジカルが発生した場合、速やかに消去に働くのあビタミンCであることをよく示しています。

たとえば、たばこを吸って煙りに含まれるスーパーオキシドが肺から血液中に入った際、真っ先に反応して消去するのがビタミンCなのです。

ビタミンCは、副腎、心臓、脳などにも高濃度で含まれます。目の水晶体、角膜、眼房水、網膜などもビタミンCを多く含む組織です。こうした場所ではSODとともにビタミンCがスーパーオキシドの消去に重要な位置を占めているものと考えられます。

ビタミンCは鮮度で含有量が異なる点もしっかり考える必要があります。ビタミンCは、日々の生活の中でどうやったらたくさん摂取できるか?または、どうしたらビタミンCの量を減らさずにすむかを考える必要がありそうです。

細胞膜の酸化の連鎖反応を断ち切るビタミンE

他方、ビタミンEとβ カロチンは油の多い場所で、活性酸素やフリーラジカルの消去に働きます。ビタミンEは、細胞周辺では、細胞膜の表面に突き刺さったような形で存在しています。細胞膜にヒドロキシルラジカルの一撃が加わると、脂質ペルオキシルラジカルが多価不飽和脂肪酸を酸化して過酸化脂質をふやしながら、再び脂質ペルオキシルラジカルが生まれる反応が際限なく進行します。これが細胞膜の自動酸化ですが、ビタミンE は脂質ペルオキシルラジカルにみずからの電子を1個与え、この連鎖反応をくい止めるのです。

電子を与えたビタミンEは、クロマノキシルラジカル(ビタミンE ラジカル) というおだやかなラジカルになりますが、このラジカルで脂質ペルオキシルラジカルをもう1 分子、消去できます。

ビタミンEのこうした働きをさして「連鎖切断型抗酸化物質」あるいは「チェーン・ブレーカー」などと呼ぶこともあります。

脂質ペルオキシルラジカルを2分子消去したところでビタミンEは消費され、抗酸化作用を失います。ところが、このとき、細胞外液にビタミンCが豊富にとけ込んでいると、細胞膜から顔を出している酸化ビタミンEに電子を渡し、ビタミンEを再生することが試験管内実験から推測されているのです。

電子を渡して酸化されたビタミンCが、今度はおだやかなラジカルとなりますが、Cは水溶性ですので、老廃物として速やかに尿中に排泄されます。ビタミンC にはこのようにビタミンEの消費を節減する効果がありますので、Eだけ、Cだけを多く摂取した場合より、EもCも多く摂取した場合のほうがはるかに高い抗酸化作用を期待できるのです。

一方、β カロチンは、細胞膜では内部の深いところに存在し、一重項酸素の消去を得意としています。

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