活性酸素は皮膚や目の老化もすすめてしまう

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コラーゲンの織物が肌の張りを保っている

動脈硬化が血管の老化なら、シワやシミ、かさつきなどは皮膚にあらわれる老化です。こうした肌の老化も活性酸素やフリーラジカルが原因であることがわかってきました。

皮膚は外側から、表皮、真皮、皮下組織の3層に分かれます。

表皮は表皮細胞がれんがのようにぎっしり積み重なった厚さ0.1~0.3cmほどの薄い層です。表皮は一生を通じて、約28日の周期でターンオーバー(再生) を繰返しています。

古くなった表皮細胞は、新しくできた表皮細胞に押し上げられるようにして、垢となってはがれ落ちます。

一方、真皮はその10倍ほどの厚い層で、コラーゲンなどのタンパク質あの線維が、美しい織物のように編まれ、肌に張りを与えています。コラーゲンの織物のすき問は、ヒアルロン酸という成分で埋められています。ヒアルロン酸は糖が鎖のようにつながったもので、わずか1グラムで6リットルの水をかかえ込める保湿成分として、肌にうるおいを与えます。冬の肌がかさかさする時期にコラーゲンを摂ると肌がみずみずしくなるのはこのためです。

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肌のシワやかさつきの原因は紫外線UV-A

この真皮に多量の活性酸素やフリーラジカルが発生すると、真皮の構造が乱れてきます。コラーゲンの豊かさが減り、「架橋結合」といって織物の編み目が飛んだりゆるんだりします。

ヒアルロン酸の糖鎖もずたずたに切断され、保水力が失われます。表皮が絶えず再生されているにもかかわらず、年齢を重ねると、肌のシワがふえ、かさついてくるのは、このように活性酸素などの悪さによって真皮が変性してくるためです。その真皮に活性酸素が発生する原因として、最も重視されているのが紫外線なのです。

紫外線は地表に届く太陽光線の中で波長が最も短く、約5%を占める光線で、波長の短いほうから、UV-C、UV -B、UV IAに分かれます。このうちUV ICは大気圏の外にあるオゾン層にさえぎられ、地表に届きませんが、UV-BとU VーAは絶えず地表に降り注ぎ、UVーBは表皮まで届きます。UV-Aはさらに深く真皮まで達して皮膚の老化を促進するのです。

皮膚への障害作用が強いUV-Bが増加している

夏のよく晴れた日に「虫干し」といって、衣類や本を日に当てる昔からの習慣がありますが、この虫干しは紫外線の強力な殺菌作用を無意識に利用したものといえます。

紫外線はその刺激によって小さな虫の体内にフリーラジカルを発生させ、虫をを殺すのです。オゾン層はこのような紫外線の毒性から地球上の生物を守る役目をしてきましたが、近年はその破壊が進み、日本上空のオゾン層も薄くなりつつあることが環境白書などで指摘されています。

従来は地表に届く紫外線の1割がUV-B、9割がUV-Aといわれてきましたが、オゾン層の破壊に伴い、地表に降り注ぐUV-B量の増加が問題となっています。UV-Bは表皮までしか届かないものの、皮膚への障害作用はUV-Aの1000倍以上とされます。

夏の海水浴などで肌をやくと、皮膚がやけどのように真っ赤にはれ上がることがありますが、これはUV-Bの刺激で表皮に発生した一重項酸素などによる皮膚の炎症です。

紫外線を実験的に皮膚に照射すると、照射した時間に比例して、皮膚に過酸化脂質がふえてきます。

これは皮膚に発生した一重項酸素などの活性酸素やフリーラジカルによって、表皮細胞の膜が酸化される証拠です。UV-Bはこのように、肌に過酸化脂質をふやし、シミをつくる原因になります。

熱帯魚がカラフルな理由

UV-Bの障害作用はこれにとどまらず、長年浴びつづける間には表皮細胞の遺伝子に損傷を与え、皮膚がんの原因となります。こうした障害を防ぐため、表皮の底のほうにある色素細胞(メラノサイト) でつくられるのが、メラニンです。

メラニンは肌をこんがり黒く見せる色素で、紫外線をよく吸収し、紫外線の刺激で発生したフリーラジカルの消去に働いているのです。熱帯魚は不思議とどれも青や赤などのカラフルな色素を身にまとっていますが、あの色素にも活性酸素やフリーラジカルを消去する作用があるのです。長い進化の過程で、強烈な紫外線から身を守る色素を表皮に持った魚だけが、熱帯の海で生き残ることができたのです。

ヒトの皮膚に沈着するメラニンは熱帯魚のカラフルな色にあたるもので、UV-Bの強力な障害作用から表皮細胞を保護しています。表皮のメラニンの量は黒人、黄色人種、白人の順に減りますが、皮膚がんの発生率は白人に非常に多く、黒人にはまれなことが知られています。

黄色人種である日本人も60~70歳になると、皮膚がんの前がん状態とされる日光角化症が高い率で発生していますので、紫外線にはじゅうぶんな注意が必要です。

スキー場で目がちかちかするのも活性酸素が原因

夏の砂浜やプールサイドで、人々が甲ら干しをする光景をよく見かけます。最近は冬でもサンタンルームを利用して人工の紫外線を浴び、小麦色の肌を自慢している人たちがいますが、

このように自分から進んで紫外線を浴びることは、体内の活性酸素発生量をふやす、自殺行為に等しいといえるかもしれません。

夏の海水浴などでは、紫外線の侵入を防ぐサンスクリーン(日やけ止めの乳液など) で紫外線から肌を守ることが大切です。

肌で注意した3つのトラブル(日焼け)

一方、冬のスキー場でサングラスやゴーグルをかけずにいると、目が充血し、チカチカしてあけていられない症状があらわれます。これは「雪眼炎」と呼ばれ、雪原に反射する紫外線の刺激で日の水晶体(レンズ状の組織)に発生した活性酸素の障害作用によるものです。雪眼炎は一時的な症状ですみますが、紫外線で目を長年傷めつづけると、水晶体を形づくるタンパク質線維やヒアルロン酸がダメージを受けます。

皮膚に見られる老化が日にも起こるわけですが、損傷がひどくなると、水晶体が白濁して視力が著しく低下する「老人性白内障」を招きます。

紫外線の強い日の外出にはサングラスをかけるなどして目を保護することがたいせつですが、日に発生した活性酸素を消去するには、抗酸化ビタミンを含む目薬をさすことも有効と思われます。抗酸化ビタミンはまた、サプリメントとして摂取した場合にも、血液によって皮膚や目に運ばれ、活性酸素の消去に働くと考えられます。

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