活性酸素 VS フリーラジカル

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ペアでない電子がある物質は強力な酸化作用を持つ

炎症や虚血-再灌流で体内に発生する活性酸素は、がんなどの生活習慣病の原因ともなっています。その活性酸素を消去する抗酸化ビタミンの働きを紹介するのがこの章の目的ですが、その話題に入るには「フリーラジカル」についても重要です。

活性酸素にスーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素の4種類があります。また。それぞれの分子を見ると、過酸化水素や一重項酸素では酸素と同様、すべての電子が2個ずつの対になっているのに対して、スーパーオキシドとヒドロキシルラジカルの分子は対からあぶれた1個の電子を持っています。

この電子を「不対電子」といいます。昔、理科の時間に酸化とは酸素が他の物質と結合することだと習ったかと思いますが、現在の化学で酸化をより正確に定義すると、Aという物質がBという物質から電子を奪うことを「AがBを酸化する」「BがAによって酸化される」と表現するのです。不対電子があると、他の物質から電子を奪って安定しようとしますので、その物質は非常に強い酸化作用を持ちます。

このような不対電子を持つ物質を「フリーラジカル」、略して「ラジカル」と呼んでいます。フリーラジカルはいわば、食事の最中に箸(電子) を1本なくした人ついのようなものです。箸は対でなければ食事ができませんから、フリーラジカルは隣の人から箸を1本盗みます。すると、盗まれた隣の人が今度はフリーラジカルになり、また隣の人から箸を盗みます。こうして周囲の物質を次々に酸化するのがフリーラジカルの特徴なのです。

細胞膜の働きはPUFAによって繊細に働く

したがって、活性酸素の中で、スーパーオキシドとヒドロキシルラジカルはフリーラジカルですが、過酸化水素と一重項酸素はフリーラジカルではありません(図訂)。ことにヒドロキシルラジカルはスーパーオキシドにくらべ、数十倍の酸化作用を持つ危険分子で、体内にひとたびあらわれるや、細胞をさまざまな形で傷つけます。

よく知られているのは、これらのラジカルの仲間が細胞膜の自動酸化の引き金になることです。ここで、その悪漢ぶりをしかと見ておきましょう。私たちの体はおよそ60兆個の細胞の集まりですが、細胞の内も外も水で満たされる一方、細胞膜は「多価不飽和脂肪酸(PUFA)」を皇宮に含む抽でできています。

脂肪酸とは炭素原子が鎖状に並んだものです。炭素原子の4本の手のうち2本は隣り合った炭素原子どうしでつなぎ合っていますが、残る2本の手をどうしているかで脂肪酸の性質が決まってくるのです。残る2本の手がすべて水素原子と結び合っているため、鎖の形がきれ

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