急増している前立腺がん

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急増中

前立腺がんは、中高年の男性に多くみられるがんです。アメリカではすでに10年以上前から、男性のがんの中で羅患率(病気にかかる比率)が最も高くなっています。
日本でもライフスタイルの変化にともない近年急激に患者数が増え、2020年には2000年の約2.8倍になり、肺がんに次いで第2位の罷患率になると予想されています。
前立腺がんは早期に発見し適切に治療すれば、完治も期待できる病気ですから、今後ますます早期発見が重要になってきます。
とくに前立腺がんのリスクが高まる50歳以上の男性や、家族に前立腺がんの人がいる男性は、定期的に検診を受けることが大切です。

前立腺の働きと前立腺がんについて

前立腺とは、男性だけが持っている臓器で膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように位置しています。
クルミのような大きさをしており、形もクルミとよく似ていて包まれています。精液の一部である前立腺液をつくり、精子の運動機能を助けるはたらきをしています
。前立腺にできるがんを前立腺がんといい、多くは尿道からら離れた辺緑にできます。
前立腺がんは一般に進行が緩やかで、比較的おとなしいがんです。初期は症状が少ないため発見が遅れがちですが、進行すると「おしっこの出具合が悪い」「血尿がでる」などの症状があらわれ、さらに進行し骨に転移すると「腰が痛い」などの症状があらわれます。
その他の前立腺の病気には前立腺が肥大しておこる前立腺肥大症がありますが、自覚症状はとてもよく似ています。

PSA検査はガン発見のための検査

PSA検査とは、前立腺がんを発見するための血液検査で、PSA値が高いほど前立腺がんが疑われます。
PSAとは、前立腺に特異的なたんばく質の一種で、健康な人の血液中にも存在します。
しかし、前立腺の病気になると血液中に流出し、PSAが増加するため、前立腺がんの可能性を調べるとともに、早期発見のための指標として用いられています。
PSA検査はごく少量の血液があれば測定が可能で、通常の血液検査と合わせて簡単に行うことができます。
前立腺がんは、初期は症状も少ないため発見が遅れがちですが、早期に治療すれば完治も十分に可能ですから、できるだけ早期の段階で見つけるためにも定期的に検査を受けることがとても大切です。

PSA検査は継続することが大事

前立腺がんは早期のうちに発見できれば、治療法の選択の幅も広く、完治する確率も高くなります。外来受診で前立腺がんが発見されたケースでは、転移がんが38%と、転移のない限局がんの32% に比べ高い割合だったのに対し、PSA検査などの検診によって発見されたケースでは、61%が限局がんで、転移がんは11% にすぎなかったことが報告されています。
「早期発見・適切治療」のために、50歳になったら、1年に1回PSA検査を受けるようにしましょう。
以前受診したときに正常値だった方でも安心はできません。前立腺がんでは、PSA 値が徐々に上昇していくため、定期的に検査を受けて、PSA値の変化をチェックすることが大切です。
なお、家族歴がある(近い血縁に前立腺がんになった人がいる)方では、前立腺がんのリスクが高まるとされていますので、40 歳になったら、定期的検査を受けるようにするとよいでしょう。

PSA値が高いときは

PSA値が高いほど、前立腺がんの可能性は高くなります。PSA値が4ng /ml以上の場合には、専門医による二次検査を行います。二次検査では、PSAの再検や超音波検査(エコー)、直腸診を行います。
超音波検査は、超音波を出すプローブという器具を肛門から挿入し、直腸の壁越しに、前立腺の状態をモニターに映すもので、痛みをともなうことはほとんどありません。
超音波検査では前立腺の形や大きさを調べるだけでなく、がんがある場合には、その部位や大きさがわかる場合があります。
直腸診では、医師が肛門から指を入れ、直腸の壁越しに前立腺に触れて診察します。前立腺の大きさや硬さ、表面の性状などのさまざまな情報から、前立腺がんの可能性を探る検査ですもこれらの二次検査でがんが疑われる場合は、確定診断のため前立腺針生検を行います。

前立腺針生検とは

二次検査の結果から、がんが疑われる場合には、前立はりせいけん腺針生検を行いますb 針生検とは、前立腺の組織標本を直接顕微鏡で観察して、悪性(がん)か良性かを判断するものです。
顕微鏡の標本を作成するためには、肛門から超音波器具を挿入し、前立腺を観察しながら数か所に細い針を刺して組織片を採取します。
麻酔を使用するため、痛みはほとんどなく通常一泊入院で行われます。
悪性であった場合には、悪性度、つまりがんの性格(どのくらい性質が悪いがんなのか)を調べることもできます。

前立腺がんの手術について

がんが前立腺にとどまっている早期がんに対しては、前立腺と精のうをすべてとる根治的前立腺摘除術を行うことができます。
これは、がんを完全に治す可能性のある治療法のひとつです。
手術にはへその下を縦に切開する恥骨後式と、肛門と陰のうの間を切開する経会陰式があり、手術には3~4 時間かかります。
腹腔鏡を使用しモニターに映しだされた画像を見ながら行う腹腔鏡手術という方法もあり、切開する創が小さくてすむのがメリットですが、医師の高度な技術が必要とされます。術後は尿道からカテーテルが挿入されますが、1週間ほどで抜くことができます。術後には多少の尿もれがおこりますが、多くの場合、時間の経過とともに消失します。
通常、手術中の出血に対応するために、事前に自分の血液(自己血)を用意します。自己血を用意しておけば、他の人の血液を輸血することはほとんどありません。

放射線治療について

放射線療法とは、前立腺に放射線を当て、がん細胞を殺す方法です。がんが前立腺に限局した早期がんに対して行うもので、手術とならんでがんを完全に治す可能性のある治療法のひとつです。
また、前立腺の周囲にひろがったがんに対しても、内分泌療法(ホルモン療法)と併用して放射線療法が行われます。
放射線療法には、体外から照射する方法と、放射線をせんげんそしきないしょうしゃほう出す小さな線源を前立腺に挿入する組織内照射法があります。
体外から照射する方法では、一般的に1日1回、週5回で7週間ほどの通院が必要になります。
組織内照射法では、線源は永久的に前立腺に残りますが、放射線の量は徐々に減り、1年後にはほとんどなくなります。
この治療は体への負担が小さく、短期の入院治療ですみますが、対象は比較的おとなしいタイプの限局がんの方がこの治療のよい適応です。放射線療法には尿の回数が増えたり、下痢や便に出血がおこるという副作用がありますが、通常、程度は軽く、頻度もまれです。

内分泌療法について

前立腺がんは男性ホルモンの影響を受けて大きくなる性質がありますもそのため、体内の男性ホルモンを低下させたり、その作用を抑制し、がんの増殖を抑えようという治療法が内分泌療法です。
内分泌療法には、薬物療法と、男性ホルモンをつくる臓器である左右の精巣を摘除する両側精巣摘除術があります。
薬物療法には精巣からの男性ホルモンの分泌を低下させる注射薬のL H-RHアゴニストと、男性ホルモンの作用を阻害する内服薬の抗アンドロゲン剤が主に使われ、しばしば同時に用いられます。
前立腺がんの進行の度合いにかかわらず、すべての患者さんが対象になる治療法で、手術療法や放射線療法と組み合わせて用いられることもあります。
内分泌療法は初期には非常に有効ですが、時間の経過とともに効果が弱くなるという問題点があります。