年をとると、白内障になると心配する人は多いのですが、緑内障のことはあまり話題にあがりません。
たしかに70歳代の9割近くに見られる老人性白内障は他人事とはいえないのですが、緑内障だって40歳以上の30人に1人がかかる目の病気です。しかも白内障のように手術で治癒するわけではなく、失明の危険性もあります。
そのうえ、「視力が落ちた」などの自覚症状がほとんどなく、言えば、実に恐ろしい病気です。そもそも白内障と緑内障とはまったく違います。
白内障は年をとるにつれて眼球のレンズの役割をする水晶体が白く濁り、視力が低下するものです。
一方、緑内障の方は、前眼部の栄養をつかさどる房水がなんらかの原因でスムーズに眼球の外に流れ出さなくなり、そのため眼圧が高くなって視神経が圧迫され、視野が欠けてくる病気です。
昔は「あおそこひ」とも呼ばれ、失明する病と恐れられていました。急性の場合は頭痛や眼痛、吐き気などの症状があらわれるのですが、大半の緑内障は慢性化し、徐々に視野が欠けてくるため、気づかないうちに進行している場合が多いのです。
痛みもなく、視力にも影響がないとなればますますやっかいです。緑内障によって失われた視野は、薬や手術でも回復することはないから、いかに早く見つけて、病気の進行を食い止めるかだけが大事なポイントです。
40歳を過ぎたらぜひ年に1 回はドックで見てもらうか、眼科医の検診を受診しましょう。