どうしてもひとりでいたいときは、無理をすることはありませんが、ちょっと誰かに相談することから気持ちが切り替えられることもよくあります。
ひとりで考え込んでばかりいると、どうしても、わるいほうにわるいほうに考えて、つらくなつてしまいがちです。うつ状態になると、外に出るのも人に会うのもめんどうになってきます。
しかし、そういうときこそ、できるものならば、なるべく人と会ったり、少しでも話をしたりする方向に、自分の気持ちを向けてみたいところです。出かけるのも人に会うのも気が進まないというときは、少していねいに自分の気持ちをのぞいてみます。どうしてもどこにも行きたくない、だれとも会いたくないというときもあるでしょう。
そういうときには、むりをすることはありません。いそがけれども、どうせだれも会ってくれないだろうし、みんな忙しそうだ、私の話なんか暗いばかりで迷惑だろう、というような気持ちだとしたら、半歩でいいから前に出て、声をかけてみましょう。
親しい人や愛する人といっしょにいると、それだけで気持ちが軽くなったり、なごんだり、晴れやかになったりします。話しているうちに、これまでまとまりがつかなかったことが自然に整理されてきたり、問題点が見えてくることもあります。
人間関係は、私たちの精神的なアンバランスに対して、それだけの力を持っているのです。私たちの気持ちのなかには、「いちいち人に頼らないで、自分の力でなんとかするべきだ」というルールのようなものが、いろいろな形でうめ込まれているようです。
たしかに、なにかものごとを習得するときでも、指導者に頼ってばかりいるよりも、失敗もしながら自分でいろいろおぼ試してみる人のほうが覚えが早いことがあります。
仕事や家事でも、少し困ったくらいのことは、自分でなんとかしなければならない場面が多いでしょう。しかし、それは元気なときの話です。うつ状態になっているときは、精神的なエネルギーが低下して、なんでもわるいほうに考えがちですし、人に会いたくなくなって、自分に閉じこもってしまいがちです。けれども、そういうときこそ、ためらわずに人の力を借りたり、手助けを求めたいしょることが、うつ状態に対処する「練習」のひとつだというくらいに考えてみてはどうでしょうか。
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